５人のにぃにと、妹６ (ページ17)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:124,903 hit

人工内耳７ページ17

ー風磨サイドー

手術時間は予定では３時間
ただただ時計の針が進んで行く。
夕方四時に手術室に入って６時間。
予定の倍の時間。
そこから、さらに２時間。

時計の針は１２時を越えようとしていた。

手術室の前で、全員不安そうに椅子に腰掛け
手を合わせて祈る。

皆、そわそわし始めた頃。

カチャン

《手術中》の電気が消えた。

時刻は、11:58

手術室のドアが開き、手術着を、血で染めた先生が出てきた。

俺たちは一斉に立ち上がる。

風磨「先生。。。Aは」

先生「頭の裏を切開しました。傷は少し目立っていますが、なんとか乗り切りましたよ。今縫合などしているので、あと５分ほどお待ちください。しばらくはICUですが、後でお顔みせますね。
Aちゃん本当によく頑張りましたよ」

それだけ言って先生は暗い廊下を歩いて行った。

俺たちは、遠ざかっていく先生を見つめて
ただただ頭を下げた。

でも。。。でも。ここからが本当の戦いだった

手術も終わり俺たちが顔を見ることができたのは
１２時半だった。

ICUに入り、顔を見る。

耳の後ろは血塗れ。頭に機械を入れられ、剃った髪の毛には、痛々しい傷。酸素マスクをされ、点滴と輸血で眠り、尿道カテーテルをされ、頭には包帯。胸には心電図。手には酸素を図る機械

いつものように、元気にはしゃぐAとは、まるで別人だった。

俺たちは５人で小さな手を握り、ただただ声をかけた。

聡「よく。。。頑張ったね泣」
風磨「偉かったぞ。。。泣」
勝利「Aはやっぱり、強いよ泣」
健人「にぃにたち、ずっと待ってたぞ泣」
マリウス「おかえり。。。泣」

答えるはずはないのに。答えるはずなんてないのに

奇跡なのかな？

俺たちが声をかけた瞬間。
Aは目を開けた