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拒食症 2 ページ3

ー末永サイドー

末永「こんにちはAちゃん、今日は頑張ってこれて、偉かったね。
精神科医の末永貴章です。
まずね落ち着くために深呼吸しようかー
ちょっと手ごめんねー。ぎゅーするよ
吸ってー吐いてー」

手を取り深呼吸させながら、俺はさりげなく脈拍を測った。

48回…
かなりの徐脈。
これはー……入院が必要かなー
手を見ると、完全に吐きダコが出来ている。

ご飯食べても無理やり吐いていることは見て取れた

末永「ご飯を食べると吐いてしまうって事だけど、どうしてそうなったかな?」

ここで焦らせてはいけない。
俺と中村は言葉が出るまでひたすら待つ。

A「怒ら……ないんですか?
ご飯食べても、無理やり吐いて……」

中村「んー?怒られるような事したの?
何もしてなかったら、怒ったりしないよ。そうなったのは、何か原因があるんだよね
Aちゃんのお話し、聞かせてくれないかな」

目線まで下がり優しい声で話しかける中村は、精神科の鏡だ。
笑顔を向ける俺たちに安心したのか、ポツリポツリと話し始めてくれた。

A「私……看護師になりたかったんです。
優しくてカッコいい看護師さんに憧れて……
でも、父に言われたんです。

「学年でも成績ビリに等しいお前が看護師だ?バカ言うな。無理に決まってんだろ。
もし看護学校に合格したとしても、学費は自分でなんとかしろ。俺は工面なんか、しないからな。
お姉ちゃんを見習ったらどうだ。学年でも成績上位。それに比べてお前は……」

って……
私の夢は、絶たれました……

気がついたら……何もかも嫌になって
嫌な気持ちを吐き出すために……ハァハァ
無理やり……ご飯吐いて……ハァハァハァハァハァハァハァハァ」

末永「まずい、過呼吸だ

ごめんねーお口にマスクつけるから、ゆっくり吸ってねー」

中村「話してくれてありがとう。
辛かったね、悲しかったね。でもね、看護師さんも実は、昔はAちゃんと一緒だったんだよ
でもこうして、看護師さんになれている。
Aちゃんに、出来ないことなんて、ないんだからねー。ゆーっくりすってー、吐いてー。
そうそう、上手」

中村の手の動きに合わせて深呼吸をしてくれるAちゃんは、暫くしたら落ち着きを取り戻した。

A「ごめんなさい……」

それだけ言うと、大粒の涙を流しはじめた。

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麻希(プロフ) - 遥華さん» 承知しました。少しお待ちください (2020年11月12日 0時) (レス) id: fabd760f23 (このIDを非表示/違反報告)
遥華 - アンビシャスさん存じ上げないですが、先生末永さん、看護師中村さんで、拒食症の話が読みたいです。年齢は14歳でお願いします (2020年11月11日 20時) (レス) id: 95b1b3b852 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麻希 | 作成日時:2020年11月9日 1時

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