５人のにぃにと、妹 ９

命の危機 ３ ページ29

救急車の中に入ってすぐにモニターをつけられたA。その時にはもう既に、心肺停止状態に陥っていた。酸素マスクをつけられ、すぐに、心臓マッサージをされる。

恐る恐る触ると冷たい手。
その冷たさが、現実を物語っていた。

俺は流れてくる涙を止めることができないまま
片方の手を握り、携帯を開き兄弟にメールを打った。

【A気づいたら手首切ってた。いま、心臓マッサージされてる。とりあえず〇〇病院に来て】

これしか言えなかった。
そんな自分が惨めだった。

救急車で、心臓マッサージをされるも、未だ心拍は戻らない。

何で、あの時死ぬの？って聞いたのか。
自分がこうなることが、わかっていたのか。

疑問が頭をよぎる。

心臓マッサージから、１２分。
病院に到着した。
1人の先生が手を縫合して、1人の先生が心臓マッサージをしてくれていた。

俺はガラス越しに処置を受けるAを見ることしか、出来なかった。

慌ただしく人が出入りする救急センター

カーテンを閉められる。

１５分後。先生が出て来てつぶやいた。

先生「Aちゃん、頑張りましたよ。
何か、薬は使いませんでしたか？」

風磨「熱があって、前に貰った座薬を……」

先生の顔が曇る。

先生「その影響で脳が錯乱して、手首を切ったのだと思われます。ハサミは何処かから持って来たのか、ご自身で持っていたのかは分かりません。
今、挿管して喉に管が入っていて予断は許されません。ですが、妹さんに会ってあげてください」

そう言われ救急センターに行くと、点滴や尿道カテーテル。挿管。裸の状態で眠るAがいた

俺は胸を締め付けられそうになった

ほんの数日前までダンスを元気に踊っていたAとは、別人だったから

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