第五十九話 迷い子に救いを ページ12
引き続き海兵side
おっかなびっくりしながら少女に近付く。彼女は微動だにしていなかった。
驚かせないように､片膝をついて目線を合わせ軽く肩を叩く。
振り向いた彼女はやはり､目を見張るほど美しかった。可憐や美麗と言った言葉はこの少女の為に作られたと言っても決して過言ではないだろう。
「ねぇ､お嬢さん」
刺激しないように､できるだけ優しく声をかける。瞳を瞬かせる彼女が落ち着くのを待って､どこから来たのかな？と努めて笑顔で問掛ける。
彼女の湖面に胡散臭い笑みを浮かべる自分が写った。
貴「ぁ……えっ､と」
落ち着かないのか視線を右に左に彷徨わせ､言葉を濁す。甘い鈴音に困惑が滲んでいた。
あぁ､彼女はきっと､マリンフォードの者ではないのだろう。きっとこれは確定､だ。
となると､どうやってここに来たのかがネックとなる。
その時､少女がちらりと自らが乗っていた軍艦を見止める。もしかして､間違って乗船でもしたのか……？
「(いや､そんな……。いや､だがこの歳の少女ならば好奇心に負けて迷い込むのは有り得なくはない)」
毎年､何件かではあるがあるのだ､そういった事例が。
少年少女がなにかの手違いで軍艦に乗り込んでしまうという稀有な話で､ほとんどが渡航する前に見つかるのだが……きっと発見されずにマリンフォードまで来てしまったのだろう。
今日渡航して､マリンフォードについた船は自らが乗船していた船だけ。
その途中で､物資補給の為に少し島に寄ったがその時に乗り込んでしまったと考えるのが妥当か。
きっと不安だっただろう。間違えて乗ってしまったとしても､こちらに非がない訳でもない。
どこかしらのドアを開け放っていたか､警備が手薄になって入ってしまったか……､どちらにせよ怖い思いをさせたはずだ。
「そっか……」
ありがとう､と努めて笑顔を向けて少女の元を離れる。
とりあえず､これは上官に報告した方がいいだろう。彼女の装いから見て間違いなく上流階級の人間だ。
それが分からぬほど愚かではない。
と､なれば市街地へ遊びに出た時に間違えて乗り込んだか……。
「(親御さんとかに絶対文句言われるんだろうなぁ)」
きっと今頃彼女の家の人間は血眼になって少女を探していることだろう。
あぁ……急に頭が痛くなってきた。早く返してあげたい､彼女の為にも､自らの為にも
「(うーん……黄猿さん､どう対応してくれるかな？)」
自由人な上司の顔を思い浮かべ､ひとつ苦笑した。
第六十話 勘違いだけどそっちじゃない→←第五十八話 ある海兵の一日
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ありばば - 色々と好きです！！ (2022年8月16日 21時) (
レス) @page29 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
私 - え、これ終わっちゃったんですか？？続きが見たいのですが。お願いします！続きをどうか！ (2022年4月9日 13時) (レス) @page29 id: 8c175f049d (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひぎゃん……好き！！！！！！ (2021年2月12日 2時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
3+6=9(プロフ) - ありなさん» …あ！(気付き) 陛下、ご指摘ありがとうございます！直しときます！ (2021年1月7日 3時) (レス) id: b2259a6e3d (このIDを非表示/違反報告)
ありな - はわわ〜、久しぶりに見にきたら更新されてたあ！ｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｽ(っ´ω`c) それと、1人称が予になってますよ〜、余だよ！(皇帝宣言) 応援してまするー、私は君のファンだからネｯ！(好きです、頑張って下さい) (2021年1月3日 5時) (レス) id: 0b757b95a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3+6=9 | 作成日時：2019年3月25日 5時
