太陽ときみと。2〜Daiki.A〜

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慧｢いち、にー、····あ！俺結婚だわ｣





大貴｢ちょ、待ってよ、今お金がー｣



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なんでこんな会話をしているかというと、今、私の家で絶賛人生ゲーム中なのである。



奥さんのピンと子供のピンを車に乗せた慧ちゃんは、みんなから結婚祝いのお金を回収する。






光｢千円じゃだめー？｣




慧｢だめ〜！っておい大ちゃん、ごまかさずよこしなさい〜｣



大貴｢くっそ〜！借金だらけなのに！｣





いいコマにばかり巡り合ってお金持ちな慧ちゃんと、ことごとくお金を取られ借金まみれな有岡先輩。

あまりに対照的な２人に思わず笑ってしまう。






肩を揺らしながら、順番が回ってきた私は、勢いよくルーレットを回す。





·····やった。５だ。






光｢ねぇAちゃん、そこのマスさ誰かからお金盗めんの。大ちゃんにしようぜ｣




隣からこそこそと聞こえてきた声。１度八乙女先輩を見て、有岡先輩を見ると

“なにー？”と口パクで問いかけてきた。





光｢ふっふっふ、Aちゃーんそのマスどうするのー？｣




明らかにわざとらしい八乙女先輩に、




A｢じゃあー、有岡先輩から３０００円いただきます！｣




楽しくなって、便乗して犯行。






大貴｢ちょ、グルかよ！！｣




もー、と目尻を下げてくしゃっと笑う先輩。




ゴソゴソと３０００円を手に取って少し周りを見渡す。

何だろうと思っていた矢先、次のコマを動かし始めた慧ちゃん達の目を盗んで、






大貴｢はい、お金｣





そう言って伸びてきた腕は、私の手のひらごと包み込んだ。一瞬ぎゅっと握られた手は、気づいた頃には離されていて、３０００円だけが残っていた。





A｢····ちょうど、いただきました、｣






ワンテンポ遅れた返事。




商売かよーとツッコんだ後、すぐに先輩たちの輪に入ってしまった。





····そうやって、気付いてないの、ずるい。


私の手のひらは、熱くなったままだった。

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