兄と過ごした夏 . ［ I.Kei ］ (ページ3)

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母「 A～朝ごはん出来たわよ早く降りてらっしゃい」

ジメジメと鬱陶しい梅雨の暑さで起きる気力が出ない

慧「お母さんを困らせる悪い子どこだ～ピッピ発見」

そう言ってこっちに走りこんでくる兄

『えっ、待っ』

慧「早く起きなさーい」

頭をクシャクシャにされる

髪の毛の隙間から見えるお兄ちゃんの笑顔はクシャッとしてて不覚にもドキッとしてしまう

『やめてよ～汗かいてるし汚いよ？』

慧「そんなのいいの、ほら行くよ」

そう言って私の手を握り階段を降りる

お兄ちゃんは私のことを、妹として見ていると思うたびに苦しくなる

でも兄妹なんだからそれが当たり前なんだ私が異常なんだ、と思うとまた苦しくなる

握られた手が熱い

妹なんだからこれくらいと思い強く握りしめると
お兄ちゃんも無言で握りしめてきた

一瞬だけお兄ちゃんとおんなじ気持ちになった気がして嬉しかった

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『行ってきまーす』

慧「いってらっしゃい夜勉強教えてやるからすぐ帰って来てね」

『わかった』

ふわっと手を振るお兄ちゃんに見送られ名残惜しい気持ちを押し殺して家を出る

好きな人と一緒に暮らすなんて心臓に悪い

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蝉の音が微かに聞こえる

『もう夏だなあ』

涼「あっちーなー」

自転車のベルを鳴らしながら隣に並ぶ幼馴染

『おはよう涼介』

涼「おはよー…ってかさ今日から俺らが前話してた映画上映されるから行こうぜ！」

『えっ、今日は急じゃない？』

お兄ちゃんに勉強教わる約束しちゃったし

涼「どうしても初日に見たいんだよ～、もう買っちゃってあるし奢ってやるから、な？」

上目遣い＋手を握り締め
これでとかとイケ面を利用してくる涼介はあざとい

『わかったよ付き合う、私も見たかったし』

お兄ちゃんには後で謝ればいいよね…

涼「やったありがとうA 」

無邪気に喜ぶ涼介
幼馴染の私でも可愛いと思ってしまうくらいだから学校イチモテるのも意味ない

涼「デートだな」

さっきまで可愛い顔してたのに今度は照れた顔をして言ってくるからこっちまで調子狂う

最近涼介はこういう少し引っかかる発言をする