匂わせ

匂わせ38 ページ40

橋本 side


名字
｢ねね！涼見て！クラゲ！｣





家でゴロゴロしていたら
閉館1時間前のギリギリの時間に
水族館に着くことになってしまった

俺たち2人しかいないんじゃないかって
ぐらい静かで、とても落ち着いた気分で
デートを満喫できてる。


そして目の前にはクラゲで喜ぶ彼女。



名字
｢ねぇ涼どうしたの？今日浮かない顔してる。｣


橋本
｢え、ほんと？俺そんな顔してた？｣


名字
｢うん｣


橋本
｢まじごめん、｣




さっきの名前の悲しそうな顔が
頭にこべりついてなかなか離れないでいる。

浮かない顔の原因は恐らくそれだろう。




名字
｢もしかして、水族館楽しくない？
私といるの楽しくない？｣


橋本
｢なに言ってんの(笑)そんなわけないでしょ？｣


名字
｢そっか。よかった｣







あぁ。彼女にこんなことを
思わせてしまうなんて彼氏失格だ。


永瀬くんなら、平野くんならこんな顔
させずに楽しませてあげられるのだろうか。


元彼のことを引きづっているのは
俺だけなんだろうか。


永瀬くんなら、平野くんなら
そんな例え話が頭の中をぐるぐると回る。



名字
｢ねぇ、涼？｣


橋本
｢どうしたの？｣


名字
｢名前は涼じゃないから、涼の考えてることは
全部が全部わかんないけど、
ある程度は分かってるつもりだよ？
私は涼しか見てないからね。｣


橋本
｢え、｣







彼女には隠し事なんかできない。


同い年のはずなのに
俺よりも何枚も上手で
考えることも俺より賢くて。


そんな彼女だから惹かれた。
容姿だけじゃない。


こんなに素敵な彼女だから
付き合いたいって思った。


だからもう決めたんだ。
君の目の前にどれだけ魅力的な人が現れようと
元彼のが君によりを戻したいって言おうと


俺が君の最後の人になるって。


だから、







橋本
｢そんなの当たり前でしょ？(笑)｣


ﾍﾟﾁｯ


名字
｢痛っ｣







何事もなかったかのように
君にデコピンをして気を紛らわせるのに
必死だった。

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