＊ ページ10
「ね、今の…どうゆう事？」
「う…」
「いいけどって、何がいいの？」
ちょっと意地悪かなって思いつつも、もう1回聞きたかったから。
もしかして俺だけじゃなくて、伊野尾ちゃんも今日少しは意識してくれていたのかななんて考えると嬉しくて舞い上がってしまう。
「う、うるさい」
「えぇ〜、俺ならいいんでしょ？」
「…っ、お前、せーかくわるいっ！」
素直じゃない伊野尾ちゃんはなかなか先程のような可愛い事は言ってくれなかった。
まぁ、いいけどね、その真っ赤な顔でバレバレだし。
熱くなっていた耳を触っていた手を頬に移動させて至近距離で見つめていると、その意図を汲んだのか伊野尾ちゃんも見つめ返してきて、
ゆっくり口付けをすると服の袖をキュッと掴まれた。
顔を離すと相変わらず初々しく照れて目線を逸らそうとするから、そんな隙を与えないままにもう一度角度を変えてキスをする。
舌を絡めると伊野尾ちゃんの肩が少し揺れて、でも嫌がってる様子はなく腕を俺の背中に回してきた。
丁度いいからそのまま伊野尾ちゃんの頭を支えながらカーペットの上に寝かせる。
「…あ、う…」
いざとなると、少し焦ったように身体を強ばらせるのが可愛い。
事に入る前に最終確認をしておこうと思って、緊張気味の伊野尾ちゃんにもう一度尋ねた。
「伊野尾ちゃん、ほんとに…いいの？」
俺の下で照れて目線を逸らして、口元に手の甲を当てて、
てっきり、また素直じゃないひとことが返ってくると思っていたんだけど…
「…うん…山田となら…怖くない、だから…抱いて？」
急にそんな事言うから見事に俺の心臓にクリティカルヒットした。
な、か、可愛すぎるんだけど…。
思わず赤面してしまって、へなへなと伊野尾ちゃんの首筋に顔を埋める。
当の本人は渾身の一撃を放った事に全然気付いておらず、戸惑ったように「やまだ？」と俺の頭に触れた。
「…自覚なしかよ」
「え？？」
「もう、もう…」
言葉にできない愛おしさを感じてしばらく悶えていると、伊野尾ちゃんはゆっくりと俺の髪の毛を撫でる。
「俺、おかしなこと言ったかな？」
「んーん、ただ、今の一言でもう引き返せなくなったから…」
「え、何それ、怖い…」
撫でられてるのが心地よくてしばらくそのままでいたけど、そろそろ限界。
首筋から顔を上げるともう一度キスをした。
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作者名：supika
| 作成日時：2024年2月18日 13時
