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お風呂を済ませて貸してもらった部屋着を身につける。
リビングに戻ると伊野尾ちゃんは「おかえり〜」とローテーブルにおつまみを並べながら待っていてくれたようだ。
ていうか、伊野尾ちゃんの部屋いいなぁ。
俺の部屋よりも収納とか多くて使いやすそうだし、キッチンも広いし。
そんなことを考えながら彼の隣に腰かけると「はい、どうぞ！」とキンキンの缶ビールを手渡された。
「かんぱーい！」
風呂上がりのビールはそれはそれは美味しかった。
何より伊野尾ちゃんと他愛もない話をしながら飲むのは最高で。
楽しくてあっという間に無くなってしまった1本目に伊野尾ちゃんは直ぐに気が付き、冷蔵庫から2本目を持ってきた。
そんなこんなで俺は順調に酔っ払いになっていったのであった。
「伊野尾ちゃん〜かわいい、ほんとかわいい」
「や、山田、あ、う…」
あぁ、困ってる伊野尾ちゃんも可愛いなぁ、と酔っている脳みそではわりと冷静に考えていた。
華奢な身体を抱きしめてもう一度耳元で「可愛い」と呟くと「ひっ」と声をあげるから、……もう抑えらんないかも…
と、思いつつも、
やっぱり酔った勢いで、なんてのは嫌だから触れ合っていた身体を離す。
伊野尾ちゃんは頬を染めながらも、困惑したような表情で「へ？」と首を傾げた。
「やまだ？」
「ん？なに？」
「……う、もう、おわり？」
……伊野尾ちゃんも酔ってんのかな。
これ以上俺になにか求めるならもう限界なんだけど、色々と。
誘い文句(もしくは無意識で言ってるのか)に頑張って耐えて、伊野尾ちゃんの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「終わりって言ったら終わりなの！」
「…なんで」
「俺酔ってるし、伊野尾ちゃんも酔ってるし、それに…」
俺に頭をされるがままにくしゃくしゃにされた伊野尾ちゃんのキョトン顔をじっと見つめる。
「……初めては、優しくしたい」
…あ、やばい。
酔った勢いでそうゆう行為を意識してたのがバレるような事言ってしまった。
案の定伊野尾ちゃんは元々赤かった頬を更に染めて、目を伏せる。
「…あ、いや今のは…」
「俺は…」
「ん？」
「俺は…山田なら…いい…けど…」
いいけど、とは？
俯いている顔を下から覗き込むとこっちに向けていた身体をテーブルの方に向けて逃げようとするから、
赤くなった耳を触りながら顔をこっちに向かせた。
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作者名：supika
| 作成日時：2024年2月18日 13時
