▶︎エンカウント ページ3
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授業を終えてバイトまでの空き時間、家に帰るほどではなくていつも近くの喫茶店で時間を潰していた。
俺的にはすっげぇ穴場。
毎週月曜、絶対に俺が読んでいる週間漫画雑誌が置いてあるし、
本棚には単行本100巻を超える名作の漫画本がずらりと並んでいる。
コーヒーを一杯頼んで、漫画読みながら時間を潰すのがルーティン。
腹減ってたらたまに、カレーも頼むかな。
ここのカレー美味いんだ、半熟の卵とチーズが上に乗っかっててさ。
俺がこの店に寄る時間には人もそんなに多くなくてゆったり出来るから快適。
学生でこんなレトロな喫茶店に入り浸ってるの俺くらいかなぁって思っていたんだけど、そういえば同じ時間によく見かける若い男の人がひとりいる。
俺と違って漫画目的ではないみたいだけど。
今日もいつもと同じように定位置の漫画の棚が近いカウンターの席に座ってコーヒーとカレーを頼んだ。
店員さんのおじいちゃんは俺があんまり通うもんだから、「はいはい、いつものね」とコーヒーにミルクを当たり前のように付けてくれるくらいの仲になっている。
カレーが出てくるまでの間、無意識に店内を見渡した。
…今日は居ないのかな。
カラン、コロンとドアベルが鳴る音がして入口に目を向けると、最近俺と同様に漫画の為にこの喫茶店にたまに顔を出すようになった大ちゃんが立っていた。
「お、山田ー」
「なんだ大ちゃんか」
「何だって何だよ」
大ちゃんは俺の隣に座るとオレンジジュースとオムライスを注文してテーブルに肘をつく。
「ね、今週のジャンプある？」
「あるけど…俺が読んだ後ね」
「まじかよ〜」
とは言ったものの、分厚い週間雑誌をテーブルに乗せて読んでいる俺に大ちゃんは普通に話しかけてくるから全然集中して読み進められなかったんだけど。
「てかさ、お前いのちゃん知ってる？」
「は、だれ？」
大ちゃんが思い出したかのように俺の事を指さしながら言った。
指差すな、と差された指を掴んで下に降ろしながら返すと、大ちゃんはあれー？と首を傾げる。
「話した事ないんだ？いのちゃんもここによく通ってるみたいだけど」
「え？」
「ふわふわの茶髪で女の子みたいに可愛い顔の。見た事ない？」
……ある。
大ちゃんが言った人物の特徴は、俺がよく同じ時間帯にここで見かける彼と同じものだった。
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作者名：supika
| 作成日時：2024年2月18日 13時
