＊ ページ17
付き合い始めて１年経つけど、伊野尾ちゃんは相変わらず恥ずかしそうに目を逸らした。
触れるたびに身体を震わせて声を聞かれるのが嫌なのか、口元を抑えようとして。
口が悪くて素直じゃないけど、純粋な所は１年前と変わってない。
でもこれは俺だけの秘密なんだ、恋人の特権。
付き合い長い大ちゃんも知らないだろうな、行為中の伊野尾ちゃんがこんなに可愛いなんてさ。
「伊野尾ちゃん？」
「んっ…なに…」
「ずっと…そのままの伊野尾ちゃんでいてね？」
急にこんな事を言ったから、伊野尾ちゃんは頬を染めた顔でキョトン顔をする。
その頬を両手で包み込んで、短くキスをして離れるとしかめっ面へと変わっていた。
「何だよ、急に」
「…んーん？気にしないで？」
ただ、唐突に愛おしさが込み上げてきて言いたくなっただけだから。
不満そうな顔してるのも可愛いなと思っていたら、急に肩を両手で掴まれて今度は伊野尾ちゃんからキスされた。
………め、珍しい…。
数秒間触れ合った後にゆっくりと離れると、呆気に取られてる俺に伊野尾ちゃんは顔を真っ赤にしながら言う。
「よ、よく分かんないけど…俺は変わるし…」
「え？」
「山田に飽きられないように、もっと素直になりたいし、積極的になりたい、手離したくないって…思われたいもん」
飽きる事なんて無いのだけど…
そんな事考えていたのか、と思うと本当にとんでもなく愛おしくてぎゅっと抱き締めた。
「…何それ、伊野尾ちゃん元から可愛いのにこれ以上可愛くなっちゃうって事？」
「か、かわ…」
「可愛い。好き」
完全に語彙力が低下して可愛いしか言えなくなっている俺の背中に伊野尾ちゃんが手を回す。
「……もういいや、可愛いでも。山田が可愛いのが好きならもっと可愛いって思ってもらえるように頑張る」
きっと伊野尾ちゃんの言う、変わりたいっていうのは「可愛くなりたい」って意味ではなかったのだろうけど。
俺があんまり可愛いを連呼するから折れてくれた。
今度はどちらともなくキスをして、いつもよりも積極的な気がする伊野尾ちゃんのキスに感情が高ぶる。
変わらないでいて欲しいけど、でも…
可愛さがアップデートされた伊野尾ちゃんを見るのは楽しみだな。
俺の為に可愛くなるって言ってくれたんだから、期待して待ってるからね。
そんな事を考えながら可愛い伊野尾ちゃんの頬にもう一度触れた。
レベルアップ▼
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：supika
| 作成日時：2024年2月18日 13時
