▶︎アップデート ページ12
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どすん、と最後のひとつの段ボールを床に置いた。
長かった…まじ終わんないかと思った、まぁ今から荷ほどきもしないといけないんだけど。
引越しする際にだいぶ断捨離はしたんだけど、俺の荷物は元々伊野尾ちゃんの部屋にあったものよりも多いのでは無いだろうか。
部屋に積み重ねられた段ボールの山を見て伊野尾ちゃんは「うわぁ…」とあからさまに嫌そうな顔。
「これ今から全部片付けるの…何日かかんだよ…」
「まぁ、運んでしまいさえすれば片付けるのはゆっくりでいいでしょ」
「落ち着かないんだよ…部屋ごちゃごちゃしてんの…」
文句を言いつつも段ボールを開けて「これはあそこのクローゼットに入れとくからね」と手伝ってくれる伊野尾ちゃんは何だかんだ世話焼きだ。
シンプルだった伊野尾ちゃんの部屋は俺のもので溢れかえって、今日から本当に一緒に住むんだと実感する。
毎日抱きしめながら寝れると思うと嬉しいなぁ、毎日抱きしめさせてくれるかは分かんないけど。
黙々と作業をしていたらだんだんお腹が空いてきて、時計を見るともう昼過ぎだった。
「ね、そろそろ休憩しようよ、もう１３時過ぎだし」
熱心に俺の冬服を畳んでクローゼットに片付けていた後ろ姿に声を掛けると「まじ？もうそんな時間？」と作業を中断してソファに飛び込んだ伊野尾ちゃん。
「疲れたぁ…お前服多すぎ…」
「ごめんごめん、昼ごはん振る舞うからさ」
文句を垂れる伊野尾ちゃんの頭をトントンと軽く叩いてから、初めてこの家のキッチンに立った。
このキッチン、広いし使いやすそうでここで料理するの実は結構楽しみだったんだ。
主に料理担当は俺になるだろうから、どこに何を収納するか考えないとな、と思いつつパパっと炒飯を作る。
材料があったからついでにスープも作ってローテーブルの上に並べるとソファにうつ伏せになり、空腹死しそうになっていた伊野尾ちゃんが起き上がった。
「美味そ…」
「簡単なものだけど、どうぞ？」
「いただきまーす」
出会ったばかりの頃に喫茶店でオムライスを頬張ってリスみたいになっていた伊野尾ちゃんを思い出す、これは彼の癖みたいで食事をする時には必ず見る光景だ。
誰も盗ったりしないからゆっくり食べなと前に突っ込んだら「うるさい、飯ぐらい好きに食わせろ」とご立腹だった、まぁ可愛いからいいけどね、直さなくても。
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作者名：supika
| 作成日時：2024年2月18日 13時
