エンディングにはまだ早い ymin (ページ2)

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伊野尾ちゃんとは付き合い始めて２年、同棲を始めてからは１年が経とうとしていた。

この部屋は元々伊野尾ちゃんが一人暮らしをしていた部屋で、俺が借りていた部屋よりも広くて使い勝手が良さそうだったたから、引っ越してくる形になったのだ。

シンプルで物が少なかった部屋に俺がダンボールいくつもの荷物を持ち込んで、部屋をガチャガチャさせたから当時は嫌そうな顔しながら荷ほどき手伝ってくれたよなぁ。

「……別れる…なんて実感湧かないな」

もし、別れるのだとしたら俺がこの部屋を出ていくんだろう、と無意識に考えて。

嫌々ながらも荷ほどきを手伝ってくれていた伊野尾ちゃんは、今度は手伝ってくれないだろうな、とかそんな事が頭をよぎって切なくなった。

………いや、別れないけどね、絶対に。

さっき「別れる」なんてワードを聞いてしまったから少し想像してしまっただけで。

帰ってきてすぐに喧嘩してしまったから、夕飯を食べ損ねて凄くお腹が空いているけど料理する気分ににもなれない。

…いつもだったら俺の料理が大好きな伊野尾ちゃんが「やまだ〜ご飯まだ？お腹すいた〜」とあの高い声であーだこーだ言うくらいの時間になっていて、

ぼやっと考え事しながらソファに座っていたから、１時間も経っていることに気づかなかったみたいだ。

……伊野尾ちゃん。

意地張ってないで早く帰って来いよ。

…今頃大ちゃんの家で飯でも食ってるのかな、俺の文句とか言いながら。

聞き上手の大ちゃんは「うんうん、それは山田が悪い！」とか共感してくれるから、気持ちよく話せるだろうよ。

全部吐き出してスッキリして大ちゃんの家でそのまんま寝落ちして、帰ってくるのは明日の朝とかになんのかな。

せっかく明日は休みだったから一緒にこの前伊野尾ちゃんが見たがっていた映画見に行く約束してたのにさ。

映画を朝イチで見て、その後はデートしたいなって思ってたから予定とか…色々…考えていて…。

………。

なんか、眠くなってきたな。

そのままソファに寝転んで、無理やりに目を閉じた。

眠りにつくその瞬間まで、
明日の朝帰ってくるはずの伊野尾ちゃんに朝食をつくってあげて、美味そうに白米を頬張る姿を想像して頭に思い浮かべていた。

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