ツンデレーションギャップ tk*in

thirdscene ページ37

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「あー…つかれた」


二人の職場のほぼ真ん中ぐらいの位置にあって、
前に住んでいた所よりも少し広めの部屋にテンションが上がっている俺とは対照的に、伊野尾くんは新調したソファに真っ先に飛び込んだ。


「うん！窓からの眺めもいいね！前のカーテン捨てちゃったから早く買わなくちゃね〜」

「あー…喉乾いた…」

「クローゼットも大きいから収納もバッチリだね！」

「てか、暑…クーラー入れよ」


完全に俺を無視してリモコンを探す伊野尾くん。
ちょうど俺の近くに見つけたからここにあるよ、と手渡した。

もう９月で涼しい日もあるけど、確かに今日は暑い。
たくさん動いた後だし、体力ない伊野尾くんはヘトヘトだろう。

麦茶でも入れてあげようとまだ食料が全く入っていない冷蔵庫からペットボトルを１本取り出し、グラスに注いだ。



「……ね、クーラーつかないんだけど」

「え？うそ…」


眉をひそめた伊野尾くんからリモコンを受け取る。
色んなボタンを押したり、電池が切れてないか確認したりしたけど…


「…これ、故障してるね。修理に来てもらわないと」

「はぁ〜〜！？」


絶望的な声を発した伊野尾くんは再びソファに倒れ込んで、足をバタバタさせる。



「あついあつい〜！死にそう…」

「まぁまぁ、お茶でも飲んで落ち着いて…」



うつ伏せになってあついあついって唸ってから、チラリとこっちに目を向けたから、
ソファの下に座り込んでお茶を差し出していた俺と目が合った。

暑さのせいなのか、頬が火照っていて可愛い。


吸い込まれるようにその眠そうな目を見つめ返していると、彼は突然に体を起こしてソファから飛び降り、思わぬ行動をおこした。




「え！？伊野尾くん！？暑いんじゃないの！？」

「…暑いよ、だから頭おかしくなったかも」



ちょこん、と膝の上に座って背中を預けてきたから片手に持っていたお茶の行き場が、無くなってしまう。




……最近、伊野尾くんはちょっと変わった、いや、ツンデレで可愛いのは健在なんだけど。

なんか、あざといんだよなぁ。

よく分かんないタイミングで甘えてきたり、上目遣いとか首を傾げる仕草が目立つようになってきたり…。



あついー…と呟きながら、俺に寄りかかってくる伊野尾くんの首筋につーっと汗が一筋通っていく。

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