ツンデレーションギャップ tk*in

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お風呂から上がるとソファに小さく体育座りをしていた伊野尾くん。
あれ？もしかして待っててくれた？

先に寝室に向かってる事が多いのに。


「あ、たかき…」


顔をあげた伊野尾くんと目が合う。
…また口を開きかけて、でもやっぱりそれが声になることは無かった。



「…伊野尾くん、なんか俺に言いたいことある？」

「……え、ないけど」


ほんとに？と少し怪しむと伊野尾くんは肩をビクッと揺らした。


「やっぱり！なんかあるでしょ！？」

「な、ないって言ってんだろ！ばかき！」


顔を近づけるとすい〜と目を逸らされて確信する。
その後はしばらく言い争いが続き、俺も少々ムキになっていたと思う。

絶っ対に吐かせてやる！
そう思ってもう一度口を開こうとした時だった。


伊野尾くんの手が俺のＴシャツをグイッと掴んで、なんだ？と思っていると引っ張っられてソファに座らされた。


「………？伊野尾くん？」

「………」


よく見ると、髪の毛に隠れた伊野尾くんの耳は真っ赤で…

ん、えっと…つまり？

ぽかんと伊野尾くんの顔を見つめていると、おそるおそる顔を上げた彼と目が合って、

うるうるの目で何かを訴えているようだ。



「……き、す…して欲しい…んだけど」

「………………え？」



あまりの衝撃に口を開いたままぽかんとしてしまった。
いやだって、今まで１度も伊野尾くんからねだってくることなんて無くて。

そんな俺の反応を見て伊野尾くんはふるふると震えている。


「……っ！なんだよその顔！」

「え、だって…」


さっきまでの伊野尾くんの行動は全部、キスして欲しいって伝えるのを躊躇ってたっ事？

え、えぇー、可愛すぎない？



「………なに、してくんないの？」

「す、する！させてください！」


照れた伊野尾くんが再び俺の事を見つめたから、肩に手を添えてキスを落とした。

角度を変えて、何度もしていると

…キス以上の事もしたくなってきちゃうよね、そりゃ。



「…ちなみにだけど、して欲しいのは…キス、だけ？」


「………キスだけじゃ…やだ」



とろんとした表情の伊野尾くんが俺の首に手を回したから、そのままお姫様抱っこして寝室まで連れていった。


今日の伊野尾くんはいつもよりほんのちょっと積極的で、

自分からキスをしてくれたり、

俺の体に触れてきたり。


まぁ、やっぱり言葉ではツンツンなんだけど。


とにかくとんでもなく可愛かった、一生この日の事は忘れない、うん。

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