ツンデレーションギャップ tk*in

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真夏に暑っ苦しいスーツを着て就職活動をするような時期になった。
帰って来てスーツを脱いで楽な格好に着替えて、

冷房の効いた部屋で生き返る〜なんていいながら、アイスをボリボリと食べる。

ひと足先に帰って来ていた伊野尾くんは夕食の準備まで済ませてしまったようで、ちょこん、と俺の隣に座った。

珍しい、伊野尾くんから寄ってくるなんて。

そう思いつつ、アイスをもうひとくち、口に運ぶ。


「たかき…あの…」

「ん？どうかした？」

「……………なんでもない」


そう言うと伊野尾くんは立ち上がってキッチンの方へと戻ってしまった。

……なんだ？
何か言いづらいことでもあるのだろうか。

少し気になったものの、それ以降伊野尾くんは全然いつも通りだったから特に掘り返すことはなく、夕食の時間になった。



「お〜美味しそ〜夏といえば冷やし中華だよね〜！」

「………うん」


一日中歩き回った俺の体に冷やし中華が染み渡る。
久しぶりに食べると美味しいな、また作ってもらお。


ふと、伊野尾くんの方に目をやるとお皿の冷やし中華にほとんど手をつけていなかった。


…あれ？食欲無いのかな？



「伊野尾くん？食べないの？」

「……え、あ…た、食べる…」



俺に声を掛けられて慌てて食べ始めた伊野尾くん。
ん〜？やっぱりなんかおかしい？？


「大丈夫？体調でも悪い？」

「だ、大丈夫だから。あんま見んな…」


やっぱり違和感は感じたけど、聞いても伊野尾くんは「大丈夫！」と言い張るし、怒ったり、落ち込んでいる様子もない。

俺の気のせい…かな？





「たかき…お風呂空いたよ」

「はーい」


着替えをもって風呂に向かおうとすると伊野尾くんはきゅっと俺の服の裾を掴んだ。

突然の事に驚きつつ、もう一度「どうかした？」と尋ねる。



「…………お、お湯、冷めてたらあたため直して」

「え？うん、分かった〜」


いつもはそんな事言わないのに。
そもそも伊野尾くんは暑いお湯に入りたい派で、俺はぬるめのお湯に入りたい派だからいつもこの順番で入ってるし。


脱衣場で服を脱ぎながら今日一日の伊野尾くんの言動を思い出す。

うーん、あの様子じゃ俺がなんかしたって訳では無さそうだけど。

……気になる。


やっぱり風呂上がったら聞いてみよう。

いつも通りのぬるい湯船につかりながら、汗を流した。

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