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根気よく話しかけても「別に」とか「あっそ」とか素っ気ない返事ばっかりだ。
「伊野尾くん、俺なんかしたかな?お願い、話してくれない?」
「………」
「……言ってくれないとわかんないよ」
俺がそう言ったら、余計に黙り込んで俯いてしまった。
理由が分からないから俺にもどうしようも無い。
心当たりもないし…。
今はそっとしておいてあげた方がいいのかな、と思い部屋を出ようとした。
ドアを開けようとしたら、どんっと背中に衝撃を感じてクッションで叩かれたのが分かる。
聞いても話してくれないし、出ていこうとしたら怒るし。
どうすればいいんだよ、と少しイライラしてしまって思わず「何?」と冷たく言い放ちながら振り返った。
「………っ」
伊野尾くんは、涙目で拳をふるふると震わせながら立っていて
視線は少し下に向いているから涙は今にも零れてしまいそうだ。
まさか、そんな泣きそうになるほどだったとは思わなくて、さっき少し冷たく返事をしてしまった事を一瞬で後悔する。
慌てて「どうしたの!?」と改めて伊野尾くんに尋ねた。
「……ごっ、めんなさっ」
「いいよっ、謝らないで!こっちこそごめん!」
ついに伊野尾くんの目からこぼれ落ちた涙はぽつぽつと床に水たまりをつくっていく。
その涙を服の袖でぬぐってあげると、伊野尾くんはやっと口を開いた。
「たかきがっ…」
「うん」
「女の子と歩いてるのっ、見たから…」
「うん?」
「嫌だったの!それでイライラしちゃってっ」
女の子と歩いてるところ………え、いつの事だ?
俺がぽかんとしていると伊野尾くんは「大学で見かけた」と付け足す。
あぁ、なんか移動の時に話しかけられて流れで一緒に教室まで行ったような…。
でも、そんな大した会話もしてないし、あの子の名前も思い出せないレベルなんだけど…。
「あ、えっと…」
「分かってるよっ、深い意味は無いことくらい、でもお前楽しそうに笑ってたからっ、その、女の子も可愛い子だったし…」
鼻声の伊野尾くんは俯きながら俺の服をきゅっと掴んだ。
「睫擇、その子の事すきになっちゃったらどうしようって…思ったの」
きゅーーーーっと心臓を鷲掴みにされたように、体が疼いた。
要するに嫉妬しちゃって、機嫌が悪かったって事でいいのかな?
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shootingstarhap(プロフ) - supikaさん、読んでくださってありがとうございます…m(_ _)m自信がないので、もし空いてる時間があったら是非、感想くださいm(_ _)mよろしくお願いします(^^)頑張ります(^-^) (2020年6月21日 9時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» 最後まで読んでくださってありがとうございました!昇天しちゃいそうですね〜笑笑 お話書き始めたんですね!読ませていただきました(´˘`*)楽しみにしているので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月21日 9時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 番外編読みました(^^)そうだったんですね…!このこと睫擇気鵑知ったら、昇天しち(いますかね?あー…教えてあげたいです(笑)ずっと書き手さんって凄いと思っていましたが、自分も書いてみて、改めて書き手さんって凄いって思いました!また楽しみにしています(^-^) (2020年6月21日 1時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - musicmans5962さん» そうなんですよ!笑 裏設定でずっと考えていたのですがなかなか出すタイミングがなく番外編にしてみました!睫擇気鵑瓩辰舛磴瓩辰舛禊遒屬任靴腓Δ 笑笑 読んでくださってありがとうございました! (2020年6月21日 0時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
musicmans5962(プロフ) - きゃあ!もうそうなんですねいのさん。いのさんの方が先に睫擇気鵑卜に落ちてたんですね( ´ ▽ ` )きっとそのことを睫擇気鵑知ったらものすごい喜ぶんだろうなあ( ´∀`)番外編も読めて、めちゃくちゃ嬉しかったです!ありがとうございます。 (2020年6月20日 23時) (レス) id: 65437c10de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:supika | 作成日時:2020年5月11日 12時