Prologue ページ1
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伊野尾くんはいつも眠そうだ。
彼のアンニュイな雰囲気はクラスでは目を引く存在だった。
「ねぇ、伊野尾くんって休みの日とか何してんの?」
「は?」
最初の会話はこんなんだった。
前から話したい話したいって思っていたけどなかなか行動に起こせなくて、
ある日、ふたりとも日直の仕事で居残りする事になった時、絶好のチャンスだと思って声を掛けたんだ。
少しテンパって声が裏返ってしまったけど。
案の定伊野尾くんは眉をひそめて怪訝そうな顔をした。
「あ、えっと…伊野尾くんってミステリアスな感じだから普段何してるのか気になって!……その、仲良くなりたいなーって…」
「……俺は別に仲良くなりたくないけど」
冷たくそう言い放った伊野尾くんは黙々と目の前の仕事をこなす。
うわ、呆気なくフラれた〜…なんて思いながらも、彼の手元に目をやった。
綺麗な手だなぁー…。
俺がぼけーっとしている間に仕事を終えた伊野尾くんはカバンを手に取ってスタスタとドアに向かって歩いていく。
俺は慌ててその背中に声を掛けた。
「伊野尾くん!ありがとうね!」
「…別に、頼まれた仕事しただけだけど」
「あの…えっと、また声掛けてもいい?」
彼は全く表情を変えずに好きにすれば?と言うと行ってしまった。
呆然と教室に立ち尽くす。
伊野尾くん…想像以上にドライだな…。
…でも、もう話しかけるなとは言われなかった。
「今度はなんて声掛けようかな…」
それからも俺はちょこちょこ伊野尾くんに話しかけて、その度にウザそうな顔をされた。
根気強く絡んでいると、少しずつ会話のキャッチボールが出来るようになってきて、ダメ元で勉強教えて、と頼むと教えてくれるまでになった。
「伊野尾くーん!帰ろー!」
「げ…睫據帖
「伊野尾くんが勉強教えてくれたおかげで赤点回避出来たよ〜!ありがとう!」
補習を受けないで済むのとか初めてで、両手をあげて喜ぶとそんなバカみたいな俺の姿を見て伊野尾くんはほんの少しだけ口もとをゆるめる。
……笑ってるの、初めて見た。
知れば知るほど、伊野尾くんの事が気になって仕方なかった。
もっと仲良くなりたい、もっと笑わせてみたい。
伊野尾くんの進路を聞いて、俺は同じ大学に行くことを決めた。
あんなに勉強が苦手だった俺が血のにじむような努力をして、なんとか滑り込みで合格すると
「すっげー執念…」と、伊野尾くんは苦笑いをした。
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shootingstarhap(プロフ) - supikaさん、読んでくださってありがとうございます…m(_ _)m自信がないので、もし空いてる時間があったら是非、感想くださいm(_ _)mよろしくお願いします(^^)頑張ります(^-^) (2020年6月21日 9時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» 最後まで読んでくださってありがとうございました!昇天しちゃいそうですね〜笑笑 お話書き始めたんですね!読ませていただきました(´˘`*)楽しみにしているので更新頑張って下さいね♪ (2020年6月21日 9時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 番外編読みました(^^)そうだったんですね…!このこと睫擇気鵑知ったら、昇天しち(いますかね?あー…教えてあげたいです(笑)ずっと書き手さんって凄いと思っていましたが、自分も書いてみて、改めて書き手さんって凄いって思いました!また楽しみにしています(^-^) (2020年6月21日 1時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - musicmans5962さん» そうなんですよ!笑 裏設定でずっと考えていたのですがなかなか出すタイミングがなく番外編にしてみました!睫擇気鵑瓩辰舛磴瓩辰舛禊遒屬任靴腓Δ 笑笑 読んでくださってありがとうございました! (2020年6月21日 0時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
musicmans5962(プロフ) - きゃあ!もうそうなんですねいのさん。いのさんの方が先に睫擇気鵑卜に落ちてたんですね( ´ ▽ ` )きっとそのことを睫擇気鵑知ったらものすごい喜ぶんだろうなあ( ´∀`)番外編も読めて、めちゃくちゃ嬉しかったです!ありがとうございます。 (2020年6月20日 23時) (レス) id: 65437c10de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:supika | 作成日時:2020年5月11日 12時