無防備いのおさん ページ16
「伊野尾ちゃん!おかえりー!」
「た、ただいま…」
ついにこの日が来てしまった…。
俺が山田の家に帰ってくる日が…!
山田は嬉しそうにごはんあるよ!お風呂からでもいいよ!なんて定番のセリフを言って俺をもてなそうとしている。
…ごはんでもなく、お風呂でもなく山田のことちょーだいっなんて言ってしまったら俺はどうなってしまうのだろうか…。
あぁ考えるだけで頭いてぇ…。
「ごはん頂きます…」
「はーい!準備するから待っててね!」
でもテーブルの上に山田の作った美味しそうな料理が並ぶと、そんな悩みは一瞬で吹き飛んだ。
「う、美味そ〜…」
「召し上がれ!」
今日のメニューはオムライス、とろっとろの卵がごはんの上で輝いている。
神さま仏さま山田様、有り難く頂きます。
完全に満たされた俺はそのまま気分よく風呂に入り、気分よく上がって、
そんな俺を見てソファでくつろいでいた山田は目を見開いた。
「い、伊野尾ちゃん!」
「ほぁ?」
「お風呂上がりいつもそんななの!?」
「え?うん…」
山田は俺の事を頭からつま先までガン見した後に、ため息をついて信じられない…と呟いた…。
「これはもう……俺の事意識されてないとしか思えない…ぐすっ…」
「何泣いてんのお前」
山田は俺の事を涙目でキッと睨みつけると、ドンドンドン!!と音を立てて部屋を出ていき、あ〜、あいつも風呂か〜とか呑気に思っているとまたドンドンドン!!と俺の目の前に戻ってきた。
「ほぁ?なにおまえ?」
「髪の毛を乾かせー!!!」
俺の方に突き出されたドライヤー。
あぁ、はいはい、後ででもいいかなぁーって思ってたけど。
ドライヤーを受け取ると今度はTシャツとスウェットを突きつけられた。
「今度は何…」
「その胸元がチラつく首元ゆるゆるのTシャツと7分丈のステテコもやめてください…。真冬になんて格好してんの…」
「はぁ?」
意味が分からなくて、山田の方を見るとその顔は真っ赤っかで…。
「そんな無防備でいられると、困る…」
忘れかけていたのに、大ちゃんとの会話が一瞬でフラッシュバックする。
つられて俺の顔も熱くなってきた…。
「あ…えっと、ご、ごめん…」
ここここれは、良くない空気だ!!!
こんな空気を作ってしまったのは紛れもなく俺だけども…!!
「風呂入ってくる!ちゃんと着替えててよ!?」
そう言って山田は風呂場へと消えてった。
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(名前)ここな(プロフ) - supikaさん» 無理言ってしまってすいません!supikaさんの作品全て大好きなので、ぜひお願いします!笑 (2020年4月3日 9時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - (名前)ここなさん» ここなさん!そんな風に言って頂けて嬉しいです!続編ですか〜〜笑 検討してみます!!笑 (2020年4月3日 6時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ここな(プロフ) - ほんとにもうsupikaさんが書くもの全部好きです!もうどれもめちゃめちゃキュンキュンして、全部続編描いて欲しいぐらいです!笑笑 (2020年4月3日 2時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» コメントありがとうございます!感情の描写が上手く伝わっているようで嬉しいです!苦労して書いた甲斐がありました…笑 (2020年3月23日 20時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました(^^)supikaさんのお話は、2人の気持ちが知れてこの時こういう気持ちだったんだ…とか知れてお話の世界にすっと入って…。素敵なお話でした。是非この後の2人のイチャイチャをもっと見たいなと思いました。凄く癒されました(^-^) (2020年3月23日 6時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:supika | 作成日時:2020年2月12日 23時