お詫びします ページ28
山田に肩を掴まれて、立ち上がろうとしていた俺はすとん、再び床に座らされた。
見上げたら山田の顔はすぐそばにあって。
あ…って思った時にはもう遅かった。
一瞬だけ触れた唇は直ぐに離れていく。
「伊野尾ちゃん、すき…」
「……知ってるけど」
ふにゃ、と笑う山田はまたソファに戻って横になり、スヤスヤと寝始めた。
…いや、スヤスヤじゃねぇから。
何してくれてんだよ、お前。
してしまったものはしょうがないから別にいいけど…。
というか、男とキス、なんて少し抵抗あったけど別に普通だなぁ。
してしまえば、こんなもん?みたいな。
まぁ、山田は超絶美形だし唇も手入れされていて柔らかいし女の子とキスしてるのとほぼ変わらないような感じだ。
…あれ?
俺、ちょっと顔熱い?
パタパタと手で顔をあおぐ、いやいやいや、待って。
キスくらいで何を動揺してんの?俺??
そんなの長い人生生きてるんだし、初めてな訳じゃないし、ほんと触れるだけのつきあいたてのカップルみたいなキスでなにを今更…。
いつかの大ちゃんの「その時は自然に来るさ〜!」みたいな事を言ってヘラヘラ笑ってる顔が思い浮かんだ。
…違う、ただ突然だったからびっくりしただけ。
とりあえず寝よう!とシャワーを浴びてさっさとベッドに潜り込んだ。
でも、無意識に思い出すのはあの唇の感触ばかりで、そんな自分に気が付いて無性に逃げ出したくなった。
こんなん、俺じゃない…!
そうこうしてると寝るのは遅くなってしまったようで次の日の朝は山田の声で目が覚めた。
「……ちゃん!伊野尾ちゃん!」
「…ふぇ?」
「やっと起きた!もう10時だよ」
まじか…ちょっと寝すぎたなぁ。
今日の仕事は昼からだけど、せっかくなら早起きしたかった。
ふぁ〜っと伸びをすると肩がコキコキと音をたてる。
そんな俺は見て、山田は何か言いたげ。
….あ、そっか。
こいつ昨日べろんべろんに酔っ払ってたんだった。
「えーっと、伊野尾さん…おれは昨日」
「酔ってたね」
「ですよね、もしかしてお会計とか後ここまで運んでくれたのは…」
「俺だね」
「…すみません!!ほんっと俺から誘っといて!!」
全力で謝ってくる山田だけど、俺にも多少の罪悪感があるから攻められない。
「お詫び…する、伊野尾ちゃん俺にしてほしい事ある?」
「…じゃあ、美味い朝飯作って」
それはいつもじゃん、お詫びになんないよ、と山田は微笑んだ。
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(名前)ここな(プロフ) - supikaさん» 無理言ってしまってすいません!supikaさんの作品全て大好きなので、ぜひお願いします!笑 (2020年4月3日 9時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - (名前)ここなさん» ここなさん!そんな風に言って頂けて嬉しいです!続編ですか〜〜笑 検討してみます!!笑 (2020年4月3日 6時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ここな(プロフ) - ほんとにもうsupikaさんが書くもの全部好きです!もうどれもめちゃめちゃキュンキュンして、全部続編描いて欲しいぐらいです!笑笑 (2020年4月3日 2時) (レス) id: f0baab4516 (このIDを非表示/違反報告)
supika(プロフ) - shootingstarhapさん» コメントありがとうございます!感情の描写が上手く伝わっているようで嬉しいです!苦労して書いた甲斐がありました…笑 (2020年3月23日 20時) (レス) id: c2fc507797 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました(^^)supikaさんのお話は、2人の気持ちが知れてこの時こういう気持ちだったんだ…とか知れてお話の世界にすっと入って…。素敵なお話でした。是非この後の2人のイチャイチャをもっと見たいなと思いました。凄く癒されました(^-^) (2020年3月23日 6時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:supika | 作成日時:2020年2月12日 23時