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『……あのぉ、そろそろ、いいすか』
「なにが？」
『行ってもいいかってことですよ！！』
「うるさい、お前」
セリー先輩とモンド先輩によって行く手を阻まれる私の気持ちを三十文字以内で答えてほしい。ちょくちょく私に分からないように韓国語で何か話す先輩方。モンド先輩に至ってはたまに目が合うと私を鼻で笑う始末。これは手が、足が、出ても文句は言えないと思う。
『…げ』
なんというタイミングだ。ポケットからブーブーと電話が鳴った。きなこだ、絶対。
『本当に私行きますね』
「パンうめぇ〜」
『今度覚えておいてくださいねモンド先輩！！？』
メロンパンを食べるような素振りを見せたモンド先輩に捨て台詞を吐いて、私はその場を後にした。
「ねえ遅い」
「まあまあ、きなこさんその辺にしておけば？」
『メロンパン買えなかった私の気持ちを知ってほしい』
「うわ焼きそばパンやん！くれ！！」
『誰がやるか』
南校舎のとある空き教室。扉を開けるときなこ、だるま、ありさか、バニさんが既にいた。きなこは、怪訝そうな顔を浮かべていた。いや悪かったって。
「遅かったね」
『少し、……メロンパンを買うのに手こずって』
「一人で買うことも出来やんか」
『だるまって煽んないと気が済まないの？？』
ありさかの心配に、だるまの煽り。とんでもない。プラスとマイナスが合わさったらマイナスになるんだよ。
【選んでください】
1.「バニさん、連絡先交換しませんか？」
2.「皆で何かして遊びませんか？」
3.「少し早いですが、夏休み何かしませんか？」
まさかの、ここで選択肢。これは悩む。期末考査も終わってないから全然先だが、夏休みのことを考えると3が好ましい…が、バニさんの連絡先……これも必要になる可能性がある。まだこの中で連絡先を交換してないのは、バニさんだけだ。1にしておくか。
【1を選択しました】
『バニさん』
「ん？」
スマホをそっと取り出し、QRコードの画面を映す。
『どうすか。交換』
「おーいいね。しようか」
『あざーす』
きなこがすっごい顔をしていたが、特に気にしなかった。
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作者名：ゴマ
| 作成日時：2023年2月26日 21時
