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「本当にごめんなさい！」
『は、はは、大丈夫、だよ』
上手く笑えているだろうか。それとも死んだ魚の目をしているだろうか。今日は待ちに待った体育祭だ。ギラギラと輝き熱を持つ太陽に照らされクソ暑い中行うことになった。
クラス対抗リレーとムカデ競走、二人三脚の三つの種目にしか出る筈だったのだが、借り物競走で休みが出て急遽私が補欠てして出ることになったのだ。何故か私が。
一応断ろうとした。したがクラスの女子二名、借り物競走のリーダー、先生というすごい面子からお願いをされたのだ。断れるわけない。体育祭は最悪なスタートからとなったのだ。
ピストルの音と共に地面をおもいっきり蹴るようにして走る。順位は二位、悪くはない。置いてあるお題が書かれている紙を取り、見る。
『…、誰か黒のスカーフ持ってませんかァー！！お願いします誰か貸してください！！』
保護者、観客席に向かって叫ぶ。黒のスカーフなんて、こんな暑い中誰が巻いてくるんだろうか。お題を恨みつつ必死に声を張り上げ探し回る。
「＿＿＿！」
私の気のせいでなければ、手が上がっている。もしや、黒のスカーフを持っている人か？希望に満ち溢れ、保護者席の方へと向かう。
『もしかして黒のスカーフもって、ま、す、…』
思わず、固まってしまった。黒のスカーフを持っていたのは男の人だった。私より年は上か下か分からないが多分近く、白の髪の毛に長袖の洋服。見てる方が暑そうな感じの服装だった。
驚くべきなのはそこではない。その人の耳、だ。耳に驚いた。私達のようなヒトの耳ではなく、“犬のような耳”をしていたのだ。目も珍しく左目は赤、右目は緑色だった。
非現実過ぎる。いや、待てよ。ここは一応、ゲームの世界でもある。こういうヒトの一人や二人、いても可笑しくはない。落ち着け、冷静になるんだ。
「これ、よければどうぞー！」
『あ、あり、ありがとうございます！少し借りますね！』
「頑張ってくださいネ〜！」
イントネーションからして外国人を思わせるような発音だ。その人から黒のスカーフを借りてゴールに向かって走る。
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作者名：ゴマ
| 作成日時：2023年2月26日 21時
