144話 ページ1
.
『……はぁ、…』
炎天下の中、私はとんでもないヤツに自宅への道を塞がれている。先日、なんやかんやあったが、大を味方につけ、少し安心しかけていた時のことだ。
「姉御!!お、俺、！エミさんに、か、か、かか、勝ったんですよ!!」
『……そう、ですか』
「はい！で、で!!つき、付き合ってくれます、よね？」
そんな話だっただろうか。アスファルトも溶けてしまうようなこのクソ暑い中だ。早く帰りたい。帰りたくて仕方ない。帰らせてくれ。
チーノも、汗をかいている。お前も暑いだろ、キツイだろ？だから、帰ろう。口を開こうとしたが、先にヤツから口を開いた。
「俺、ちゃんと姉御のこと、よく考えてます、よ？姉御のこと優先します、し、姉御の言うことは、何でもしますし叶えますよ！」
『……なら、悪いけど、帰らせて』
「俺、一度姉御と放課後デート、してみたかったんですよね！ンふふ……！ゲーセンとかでも、いいですよ。姉御の好きなとこに、行きましょう！」
聞いていない、と。チーノは私に抱きつく勢いで近寄り、腕を組んで歩こうとした。暑さにやられ、私は何もする気が起きなかった。土曜日にショッピと顔を合わせる可能性ががあるから、更に、全てが嫌になりかけた。
「姉御、嫌、ですか？俺と放課後デート、……」
『…嫌だね。帰りたい、から』
「そんなぁ………」
ヤツの方が背が高いため、上から私を見下ろすようにそう問いかけた。ただ、まるで飼い主に叱られた子犬のような目で私を見る。眼鏡の奥の橙色の瞳が、私をじっと、見つめてくる。
「あ、聞いてくださいよ、姉御！この前、ここ、殴られたんですよね、…」
そう言い、顎を指差した。ヤツを見た時、一番最初に目に映った。顎に大きな絆創膏を貼っている。ヤツは慰めろと、頭を撫でろと言わんばかりに頭を下げ、私の様子を伺う。
『………それは、痛かった、ね』
ヤツの頭に手を置き、撫でる。ふわふわの髪の毛が、妙に撫で心地がいいなと思ってしまった。暑さにより、全てが可笑しくなっていると自分に言い聞かせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2425人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゴマ(プロフ) - baoningsen721さん» 生かせるように頑張らさせていただきますね💪 (2023年1月21日 11時) (
レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
baoningsen721(プロフ) - 死ぬな！頑張って生き延びてくれ夢主！ (2023年1月16日 21時) (レス) @page50 id: c27f08a57c (このIDを非表示/違反報告)
ゴマ(プロフ) - けんまおし1016さん» ヤンデレは本当にいいですよ☺️ぶっ刺さってよかったです。これからのんびり更新となりますが最後までお付き合いよろしくお願いいたします🙇 (2023年1月1日 23時) (レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
ゴマ(プロフ) - ヤンデレっていいよねさん» そう言ってくださるとモチベに繋がります✨応援もありがとうございます！ (2023年1月1日 23時) (レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
ゴマ(プロフ) - コジャケｴｴｴさん» お褒めいただき光栄です…！感情移入出来るようにこれから頑張りますね💪 (2023年1月1日 22時) (レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゴマ
| 作成日時：2022年9月19日 19時
