十一夜 ページ11
ふぅっと、孝幸、コネシマは煙草の煙を吐いて、テーブルに置いてある灰皿に火を消す。着けていた眼鏡を外し、大きな水色の瞳で私をじっと見つめる。
『…な、なに?』
「………俺、案外顔いい方なんやで?」
『…そ、そうだね、…』
眼鏡をテーブルに置き、そのままずんずんと私が座っているソファーまで向かい、ドカッと隣に座る。びくっと、肩が跳ねた。
昔の私なら殴るなり何なり、とにかく乱暴に雑に、何とかして追い出していただろう。だがその昔の私は捨てた。そんなこと、出来ない。
『えっ』
「やっぱ顔好みやなぁ…」
ぐいっと、腕を引っ張られ、鼻と鼻が触れ合う距離まで近づかれた。
「…顔、赤いで」
『え、ぁ、…』
ぶわっと、顔に湯気が出そうになった。元カレより顔がいい。それに、元カレはこんなことを、積極的ではなかった。だが次の言葉により、全てが冷めた。
「顔、好きや。めっちゃ顔好き」
『………』
私の中の何かがプツンと、切れた。掴まれている手をおもいっきり振り払い、ビンタをコネシマにする。
『調子乗んなよてめぇ』
「…………」
弱めにしたが、私がビンタしてきたことに驚き、ビンタされた頬を抑えて目を丸くしている。
「…ぉ、おぉ?」
『こっちが黙っていれば顔が好き顔が好き好き…うるさい』
コネシマを睨み、立ち上がる。すると、コネシマは予想外の言葉を発した。
「やっぱあん時のAの方もええな、」
『……は?』
「今のA、めっちゃ女っぽくなったけど、こっちもこっちで好みやわ」
ぞわぞわと、背中を誰かに触られたような感じがした。ビンタした筈なのに。とうとう頭がおかしくなったか。コネシマは続けた。
「なぁ、結婚しようや」
『………無理』
こんな形で、人生初のプロポーズをされるとは思ってもいなかった。
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ゴマ(プロフ) - える@脅威推しさん» お気に召してくださったのであれば幸いです👊💥 (2022年6月22日 20時) (レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
える@脅威推し - ッスゥゥゥゥゥゥ………”尊い” (2022年6月21日 16時) (レス) @page16 id: e5ffed06b8 (このIDを非表示/違反報告)
ゴマ(プロフ) - まろ。さん» お気に召してくださったのであれば幸いです🥰 (2022年5月22日 22時) (レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
まろ。(プロフ) - リメイクも面白いなぁ…………すき。() (2022年5月16日 0時) (レス) @page15 id: 2667a3070a (このIDを非表示/違反報告)
ゴマ(プロフ) - 時計さん» コメントありがとうございます!完結いたしました!神だなんて、…私にはもったいない言葉です。こちらこそ、読んでいただきありがとうございます…! (2021年11月16日 7時) (レス) id: 048acd4b1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゴマ | 作成日時:2021年11月3日 9時