32話 限界 ページ34
｢ごめんね、蛙吹さ..ん…｣
ずっと我慢していた。
私の限界が近いのもわかっていた。
けど、あの人が見る世界にいくには無理をしないといけない。
あぁ、せっかくここまで来たんだから
このまま死ぬって言うのは
嫌かもしんない。
ﾊﾞﾀｯ
｢Aちゃん！？｣
最後に聞いたのはカエル声ような声質の言葉だったから、
きっと蛙吹さんだったのだろう。
迷惑、かけたくないんだけどなぁ……。
ーーーーーーーーーーー
｢あ、きれいな羽根。どの鳥の羽根だろう。
お父さんやお母さんに教えてもらったことの無い羽根だ。｣
あぁ、風で飛んでいってしまう。
まって、
行かないで。
ﾋﾞｭｫｫ
｢……。｣
空高く舞い上がってしまった。
仕方がない、おじさんの所に…
？
あの影はなんだろ。
はやくおじさんの所に戻らないといけないのに。
影に少しずつ近づくと声が聞こえてきた。
｢や、やだぁ…！｣ﾋｯｸﾋｯｸ
男の子が泣いてる声だ。
別に無視してもよかった。
もう、興味は無くなってたし。
けど、何となく。なんとなく、もう死人や死に声を聞きたくなくなった。
｢ねぇ、なにしてるの？｣
わたしは自分の身長の3倍ぐらいの顔を隠した男の人に話しかけた。
｢あ"ぁ"？嬢ちゃんには関係ないことだ、向こうに行ってな。｣
｢けど、その子ないてるよ？｣
｢俺の顔が怖かったのか泣いちゃってなぁ？そうだ、代わりに嬢ちゃんが教えてくれないかい？｣
｢いいよ。あ、その前にその男の子を向こうの大通りの方の歩道に行かせてからでいい？｣
｢あぁ、いいぜ？けど、その前に、｣
？
｢俺の顔を見てからなぁ！｣
その男の顔は酷かった。
顔面火傷でドロドロ、骨は見えてるし勿論肉だって見えてる。
だからなんだろ。
｢あ、あ…。｣
男の子は怯えきってて動けそうにない…
わたしはこれ以上どうすることも出来ない。
だって知らないから。
｢な、なんで俺の個性が効かねぇ！？｣
｢？よくわかんないけどどこに行きたいの？
わたしもここにきて2日目だからあんまり詳しいことはわかんないけどあるていどは案内できるよ？｣
男は何故か怖がってた。
｢くっそ、なら…！｣
男の人の顔が溶けていく。音も聞こえる。
…で？
｢…な、なんで恐怖を抱かねぇ！？｣
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作者名：暁 | 作成日時：2019年12月28日 3時
