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育児 ページ9

退院後最初の1ヶ月ほどハラハラしながら生活したのは初めてだった。

後で思い出しても、芙希はどうしても眠った覚えがなかった。




芙希は母乳がたっぷり出たが、二人に代わる代わる飲ませていると、自分は永遠に授乳をするのではないかという気がしてきた。

朝から晩まで、晩から朝まで、二人に代わる代わる飲ませ続けているのだ。

また代わる代わるオムツ替えをしていると一日が暮れていたりした。

二人いっしょに寝てくれれば芙希も寝れるのだが、ばらばらに寝てはばらばらに起きて泣いた。



疲労困憊になったのでお手伝いさんのモーリンには家事の方を全部やってもらい、芙希は育児に専念した。

それでも産後の生活は過酷で、あれほど嫌だった管理入院が天国のようにお気楽に思え、懐かしいくらいだった。



二人の寝室にベビーベッドを2つ運び込んでいた。

夜中は芙希が泣いた赤ん坊順に飲ませて、内田がげっぷをさせる。

おむつは二人でいっぺんに替える。

内田も奮闘せざるを得なかった。



芙希と内田は子どもたちを守るために必死で戦っていた。

何と戦うか?自分たちの不安とだ。

二人は不安を分け合う戦友になっていた。



無事に育つかしら?
今、何かうなったけど、具合悪いのかしら?
体重の増え方はこれでいいのかしら?
泣きすぎるんじゃないかしら?
暑いの?寒いの?
どこか痛いの?
ねえなんか言って!

頭の中はそれでいっぱいになっていた。





小さく生まれた赤ちゃんたちだったが、よく飲みよく泣いて元気に育っていた。


双子は病気もしたが(それも二人いっぺんに)ふつう以上には深刻な状況にならなかった。

どっちに先に薬を飲ませたかわからなくなってしまったのは、芙希の隠している暗い秘密だ・・・




それでも慣れていくうちに、内田も芙希も心配するより楽しむほうが多くなっていた。

近頃では本当に毎日笑ってばかりいた。

あやすと声をたてて笑う赤ん坊の笑顔を見て、親の方が大笑いをしていた。

ヘバメももう安心していいと言った。



毎日毎日二人への愛情は大きくなって、赤ちゃんの頬をつつくたびに、身体を触るたびに、話しかけるたびに、もうこれ以上の幸せは考えられないと思うのだった。



浮かれた内田は毎日チームメートに自慢話ばかりして、みんなににやにやされていた。

子どものいるチームメートはうなずきながら言っていた。


「みんな覚えがあるよ。一緒さ!俺も初めて子どもを抱いた時の感動は忘れられないよ!」

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作者名:夏葉 | 作成日時:2015年1月30日 13時

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