備える ページ6
「芙希、具合どう？」
「絶好調とは言えないわ〜〜(泣)」
「でもおめでとう。ほんとに良かったわ。双子ちゃんですって？」
「実はわたし、結婚後半年くらいでドクターとこに行ったことがあるの。
子供がなかなかできないと思って」
「あら、そうなの？早すぎない？」
「うん。ドクターもね、『アホカ！早スギル。2年タッタラマタ来ナハレ』って言った」
「関西弁で言ったの！(笑)ドクターが！(笑)(笑)」
「いや、どうも南部訛りのような気がしたけど(笑)」
「体調がおさまって退院したらね、遊びに行ってもいい？ベビーグッズ作るの、手伝ってあげるわ」
そうなのだ！
内田の不器用さばかり心配していたが、自分だって縫い物や編み物はろくにできない。
この際、真梨香に先生になってもらって、基本だけでも身につけよう。
「ありがとう真梨香！ほんとたよりになるわ〜」
よし、それを楽しみに入院生活を耐えよう(泣)と芙希は決心した。
だが、結局芙希にそれほどの安定期は訪れず、真梨香は来られずじまいだった。
しかし、めげない二人はスカイプでやりとりし、芙希はでこぼこしたおくるみを2枚編みあげることができた。
芙希の母親はおばあちゃんの介護で来られない。
産まれる時も、内田と二人か、タイミングによっては一人で産まなければならない。
産まれたあとのことは、内田がさっさと手を打っていた。
初めての子で、一人でも大変なのに双子・・・自分も試合ごとに前泊で家を空ける。
絶対にお手伝いさんが必要だ。
家事一般に子供の世話。いざという時には泊り込んでくれる人。
前に住んでいた家のお隣には、元保育士の奥さんがいた。
その伝手を頼って、やはり元保育士の人が手伝いに来てくれることになっていた。
その人が良ければ数年単位でお世話になるつもりだった。
産まれる前に、二人で会って面接した。
アイルランド出身の45歳の女性。ご主人と死別して一人暮らしをしている。
経験豊かな保育士さんで、しっかりした責任感のある人に思えた。
内田家の事情をよく理解して、家事と育児を臨機応変にやってもらえなければ困る。
3人はみっちりと話し合い、正式文書でお互い満足いく契約を交わした。
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作者名：夏葉 | 作成日時：2015年1月30日 13時
