訪問 ページ45
「まったくかわいい赤ちゃんだったわ!あんなにきれいな子は見たことがないわ!」
「ほんと、赤ちゃんモデルになれるよな!驚いたよ!」
「あの服ね、ぜんぶ日本から真梨香のご両親が持っていらしたんですってよ」
「ああ〜!想像つくわ〜」
内田夫妻は日帰りでイギリス訪問をしていた。
真梨香の母親は、3ヶ月ほどイギリスに滞在して世話をし、先月帰国していた。
その後は吉田夫婦で優芽ちゃんにかかりきりなのだった。
芙希たちがイギリスの吉田家に着いてさっそく赤ちゃんを見せてもらおうとしたら、吉田に止められた。
「あっ!お二人、悪いけど手洗ってね。しっかり洗ってね。うがいもしてね。鼻もかんできて」
バッチリ消毒までさせられた。
ようやく連れて来られたのは、ベビーディオールのお衣装にくるまった、またとなくかわいい赤ちゃんだった。
スタイやソックスもディオールだった。
「今眠ってるからね」
「わかってるよ(笑)」
「小〜さい声で話して!」
内田は大声で笑い出したかったが、芙希はかしこまって赤ちゃんの顔を覗き込んだ。
そこには真梨香によく似た実にきれいなお姫様がいた。
珍しいほど整った顔立ちの赤ちゃんだった。
「真梨香・・・真梨香に似てる。かわいい!超〜美人だわ!」
芙希は胸がいっぱいになった。
芸大時代から知っている花のような真梨香は、花のような赤ちゃんを産み、おかあさんになったのだ。
「おめでとう。真梨香おめでと。
・・・吉田さん、とってもいい赤ちゃんね。おめでとうございます」
芙希は涙が出てきて困った。
「吉田、おめでとう。良かったなあ、お前に似なくて(笑)」
「ああ何とでも言ってくれ!・・あ、うちのお姫様に触るな!しっしっ!(笑)」
吉田は「優芽ちゃんは絶対に嫁にやらない!」と言い張って、真梨香に笑われていた。
夜遅く家に帰ってモーリンにお土産のアイリッシュリネンをプレゼントした。
賑やかな双子が飛びついてくるのをようやく寝かせ、内田はやっと話ができるようになった。
「一人の子育てって、なんだか楽そうに見えちまったな(笑)」
芙希は実際、今はもう慣れているし、一人なら片手でも世話できそうだった。
「あなたもよく手伝ってくれたしね」
「芙希はよく頑張ったよ!」
「けっこう大ざっぱに育ててます(笑)」
「二入とも元気に育ってくれてありがたいよ」
「優芽ちゃんも・・・どうかお健やかに」
二人は吉田家の幸せを祈った。
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作者名:夏葉 | 作成日時:2015年1月30日 13時