シチュー ページ38
本当に玉ねぎを刻んで涙を流し、ビールをたっぷり入れてアイリッシュシチューにした。
モーリン直伝・独特な味付けのおいしいシチューだった。
子ども用にはビール無しのを取り分けていたが、内田はふざけて大人用を桜子に食べさせた。
桜子は平気でモグモグ食べていた。
「ちょっと、だめよ!けっこうビール入れたのよ」
「大丈夫だよ。うまそうに食べてるじゃない(笑)」
内田はもう一口桜子に食べさせた。
「桜子が大人になって酒豪になったらどうするの」
「ちゅごぅってなあに?」
「悠理海、それはな、ママみたいな人のことだよ!(笑)」
「違うわよ悠理海!」
「そっか、そうだったな、真梨香おばさまのことだよ(笑)(笑)」
「真梨香おばしゃましゅき♪」
「そうよね、いいおばさまよね」
芙希は眉をきゅーと吊り上げて内田に合図した。
(変な事言わないで!)
その時桜子が「フニャ〜〜ン」と言ってぱたりとひっくり返った。
「あ!」
「あれっ!」
「いったいどこの父親が、自分が飲めないビールを子どもに飲ませるのよ!」
「いや、ビール飲ませたわけじゃ、なぃ・・」
「なに!?」
「悪かった、ごめん。もうしない」
「あたりまえよ!」
内田はさんざん芙希に叱られていた。
夕食の騒ぎのせいで芙希はごきげん斜めだった。
いったいどうなることかと思った。
「ビール飲んだ子供の手当はどうしたらいいか?」なんてモーリンにも聞けなかった。
宮下のことなんかすっかり忘れていた。
ベッドに入ってからもちょっと気が立っていたが、内田はするするっともぐりこんできた。
芙希はまだ少しぷんとして背中を向けて寝ていた。
内田は芙希の背中にぴったりくっついた。
「ねえ、芙希? 芙希の胸、いい子になったね」
「・・・?」
「前は暴力的にでっかかったけど、今のほうがいい子の胸だよね」
「あの頃は・・・大きすぎてわたし、ちょっと恥ずかしかったもの」
内田はにっこりと笑い、芙希の頬に軽いキスをした。
「今の胸、好きだよ・・・」
もう二つくらいキスして、こっちを向かせて甘く目を見つめた。
芙希は吸い込まれるように思わず微笑んだ。
微笑んだ唇の端にキスし、次に内田はゆっくりと濃厚なキスをした。
そして芙希の胸をはだけ、顔を埋めた。
「ほかのところも、大好きだ・・・」
「怒ってても?」
「怒ってる?」
「・・・怒ってない」
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作者名:夏葉 | 作成日時:2015年1月30日 13時