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お祝い3 ページ12

内田家にはドイツ国内外からどっさりお祝いカードが届いていた。

内田の先輩後輩友人たちや芙希の音楽仲間からの、色とりどりの『双子ちゃん誕生おめでとう』カードが、家じゅう所狭しと飾られていた。


隣町の選手が闇夜に紛れて来た時は、本当にびっくりした。


「夜遅うに悪いんやけど」

彼は帽子とメガネとマスクで変装していて、ものすごく怪しかった。


「わああ何やってんだお前!見つかったら命にかかわるぞ!(笑)」

内田は大急ぎで家の中に引っ張り込んだ。

彼もかなり焦ってビクビクしていた。

「これ、みんなからのお祝いや」


デュッセルドルフで時々日本人選手たちが食事会をするが、内田は前回は行くどころではなかったので、彼がその時に預かったお祝いを届けてくれたのだった。

サンタクロースかと思うような大きな派手な袋を持ってきて、芙希が急いで用意したうどんを2杯食べ、そそくさと帰っていった。

「ありがとうございました。どうぞお気をつけて」

芙希が見送り、内田は後で爆笑した。「お気をつけて(笑)(笑)」


ありがたいことに、大袋にはおもちゃがどっさり入っていた。


のちに布製のカラフルなサッカーボールは子供たちの大のお気に入りになった。

内田が転がしてやると大喜びで取って、口にくわえる。

まだ投げ返したりできないが、面白がって内田はいつまでも相手をしてやった。

家じゅうに派手なボールが転がっていた。


絵本も入っていて、芙希は子どもの絵本に夢中になった。

おもしろい!

日本のと雰囲気がずいぶん違う。

今度いろいろ調べてみよう!




街中で、市場で、『野ばら』で、またスタジアムでも、あたたかく噂が流れていた。


「ウシーとフキに赤ちゃんが産まれたんだよね」

「男女の双子だってよ」

「ウシー、怒涛のドッペルパック!(笑)」


いつの間にか二人の近場の知り合いは内田家に訪ねてくるようになっていた。

仲の良いチームメートやその家族、隣近所の人たち、市場や商店街の人たち、みんな暇をみてふらりと内田家に立ち寄り、ちょこちょこっと双子をあやして帰った。


芙希の束の間のお昼寝中はモーリンが応対してくれた。

内田も芙希もあまり神経質に考えず、近所の人の気持ちを素直にありがたく受けていた。



素朴で親切なご近所さんたちは、内田のプレーはもちろん、内田夫婦のチャリティやミニコンサートでの献身ぶりを良く知っていたのだ。


内田家の双子はたくさんの人に愛されていた。

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作者名:夏葉 | 作成日時:2015年1月30日 13時

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