お祝い2 ページ11
内田はいつか習い覚えた『おかゆの作り方』を披露することができて、大得意だった。
離乳食はこれだけで賄えるほどバリエーションを増やし、吉田はさんざん先輩風を吹かされて迷惑していた。
「吉田、お前さっきから『かわい・・♡』しか言えないのかよ。全く語彙力がないんだから」
「例えばどんなんだ(笑)」
「ほれ、愛らしいとか魅力的とかりりしいとか賢そうとか立派とか愛嬌あふれるとか・・・」
「やめて！もう」
芙希が赤くなって割り込まないと、いつまでも続きそうだった。
(この調子ではクラブでも何を言ってるか・・・)
真梨香は桜子を抱えながら笑い出し、桜子も笑っていた。
つられて悠理海もきゃっきゃ笑い出した。
悠理海がきゃっきゃと声をたてて笑うのは珍しいので、内田はなんとも言えない顔をした。
よりによって吉田が笑わせられるとは。
悠理海はめったに声をたてて笑わないので、内田も芙希も苦労して笑わそうとしていたのだが、なかなかできなかったのだ。
「なんだ悠理海、顔の長いおじさんが好きなのか」
「そうだよきっとそうだ！悠理海くん、おじさんに抱っこしよう！」
吉田は悠理海を落とさないようにおくるみでしっかりつつみ、床に座ったままそうっと抱いてみた。
吉田は手も大きく、安定して抱っこできた。
「あら吉田さん、とてもお上手だわ」
芙希がほめたので吉田はほーっと息を吐き、嬉しそうな顔で叫んだ。
「やっぱりなー、おじちゃんも悠理海くん大ちゅきでちゅよー！かわいー♡」
悠理海はよだれを垂らしながら機嫌よく「くう〜」とか言っている。
「吉田おまえ、親馬鹿になりそうだな・・・」
「ははは！内田に言われたかねえよ！うわはははは！」
爆笑された内田は、憤然として悠理海を吉田から奪い取った。
芙希も真梨香から桜子を抱きとった。
「だいぶ重くなってきたでしょう？生まれた時は、ほんとにちっちゃかったのよ」
「しっかり育ってるわ。さっき両足でぴょんぴょん蹴ってたわよ♪」
「そうなのよ！桜子のほうがちょっと小さいんだけど、すごくよく動くの」
「良かったわね芙希。無事に二人の子のママになれて(本気で心配したのよ)」
「ありがと。・・双子だと面白いこともあるわ。同時授乳なんて神業、聞いたことある？(笑)」
「ええ！？・・・わたし今ものすごいこと想像したわよ？(笑)」
「専用のマットを使うんですって！」
二人は桜子が寝入ってもしゃべっていた。
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作者名：夏葉 | 作成日時：2015年1月30日 13時
