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長いと感じていた一年も過ぎてしまえばあっという間に感じる。
昨日は休みをもらったので、その分今日は少し気合を入れて出勤すると“マシロちゃん”はいつも通りカウンターの隅っこに座っている。
「昨日は休みだったんだね」
「うん、今までもちょこちょこ休みもらってたよ」
「知ってる。けど、昨日はAに話したいことがあったんだ」
自分が優大くんであることを彼女が暴露して以来、彼女の口数が増えた。
「話したいことって何?」
「そろそろクラス替えだからさ、そのことについて」
五組や六組のような特色科とは違い、一年経てば私たちにはクラス替えがある。
やっぱり意識しちゃうもんだよね。
「クラス替えなんてなくていいのにね」
彼もそう思ってると思い口に出した言葉に、彼女はうん、とだけ返事をしてカップを口に近づける。
彼はそう思っていなかったのかと残念に思ったが、そうではないらしい。
「Aがクラス替えを嫌がるのは吏音と離れるかもしれないから?」
予想外の言葉に彼女を見つめてしまうが、目が合いすぐに返事をする。
「それもあるけど、やっぱり今のクラスが楽しいからだよ」
「そうだね。俺もそう思う」
マシロちゃんの姿で俺、なんて言葉を発していいのだろうか。
なんて考えているとすぐに彼はマシロちゃんになり、ふふふと笑みを浮かべる。
「Aって大人しいほうだけど、時として急に発言力が強くなるよね」
「そうかな。いつも優大くんたちに任せてるよ」
地味な私なんてリーダーとしては向いてない。
リーダーになれるのは人気者やリーダーシップのある強い人だと思ってる。
「クラス替えしたらもう見れなくなるのかもね」
楽しそうに笑みを浮かべて話すマシロちゃんを見るのは、これが初めてかもしれない。
そうだとすれば、少し引いたけど、優大くんが自分がマシロちゃんであることを告白してくれて良かったかもしれない。
楽しそうに笑みを浮かべたかと思えば、一口飲んで少し寂しそうな顔をする。
今日はモカが美味しくなかったのかなんて心配をしてしまう私はただのばか。
「Aは確か恋バナって好きだよね?」
「うん、好きだよ」
また彼女は静かになり、コトンとカップを置く音が響き緊張感がはしる。
彼女が一呼吸してあのね、と口にする。
「クラスに好きな人がいるんだ」
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袋(プロフ) - 今日読み始めた者です。 本音を言うとですね、最高。すこ。めちゃくちゃドキドキする。ウッヒョーォオオォオオォオオォオオォオオ!って感じです。語彙力なくてすみません!!!! (2020年1月27日 22時) (レス) id: b33350b182 (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 岩舘くんの下の名前は吏音です。李音とよく間違えます。間違ってたらぜひ遠慮なく言ってください (2018年4月30日 10時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 子月さん» ここまで言われたのは初めてです。ありがとうございます!文章上手に書けるよう頑張りますね (2018年4月24日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
子月(プロフ) - 甘さもあるけど少し暗い面もあって……私好みの物語です。占ツクのオリジナルだと中々見つからなかったので、この作品を見つけた時、嬉しかったです。続きを楽しみにしていますね! (2018年4月24日 19時) (レス) id: be8a18df5d (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 和花さん» ありがとうございます! (2018年4月5日 13時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
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