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いつの間にか和やかな雰囲気が漂いはじめ、いつ日か見たあの柔らかな笑みを向けられる。

あ、マシロちゃんだ。そんな笑みだった。

カップに手を添え小さく唇が弧を描く。長く美しいまつ毛をのせた瞼がゆっくりと上がり、鈴のような瞳と目が合う。


「Aはほんとにすごいや」


妖艶で嫋やか。彼女にぴったりの言葉が久しぶりに脳裏を横切る。

初めて彼女に会った日、嫋やかさの中にどことなく妖艶な姿が見え見とれてしまった。

あの時感じた落雷にあったときのような感覚を思い出す。


あのときは見せなかった笑顔を浮かべる。にっと歯を見せ笑う。


「Aを好きになれば良かったね」


あ、でもAは吏音のことが好きだからどちらにせよ失恋か、なんて言って彼女は笑う。


「……マシロちゃんに好きになられるのは良いよ」


絶対今顔が紅い。


「優大くんはモテるから困るし恋愛的な意味だと好きじゃないけど、マシロちゃんには惚れたことあるから」


彼女と私以外には聞こえない声。

こんなの下手したらレズビアン発言だ。


恥ずかしくて彼女の方を見れないでいると彼女はくすりと笑う。


「吏音が可愛いって言いたくなる気持ち、今ならわかる」


参りました。

彼女が優大くんであることを忘れ、再び彼女に惚れかける。


「岩舘くんに可愛いって言われたのは服のことです」

「なんで敬語?照れくさくて服のことにしたんでしょ吏音は」

「私は可愛いなんて言われるような人じゃないです」

「第一印象の可愛いとは違う内面的な可愛さがAにはあるの」

「なに、浮気?みっちゃん以外に私も好きになっちゃうの?」

「それはないわ、ばーか」

「ば!ばか?!」


子供のような会話を平然と店内で繰り広げる。


外はもう夕暮れで、先程よりもお客さんは減っており残っているのは常連客のみとなっていた。


だからなのか、みんな私たちの会話なんて聞いてないふりをしてくれていて、どこか微笑ましそうな表情を浮かべお茶を楽しんでいた。



ほら、マシロちゃん。困ったらここに来れば良いよ。ここにはあなたの居場所がある。


女装だって受け入れるし、弱音だって聞いてあげる。


ここはそんな場所だよーーー。





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(プロフ) - 今日読み始めた者です。 本音を言うとですね、最高。すこ。めちゃくちゃドキドキする。ウッヒョーォオオォオオォオオォオオォオオ!って感じです。語彙力なくてすみません!!!! (2020年1月27日 22時) (レス) id: b33350b182 (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 岩舘くんの下の名前は吏音です。李音とよく間違えます。間違ってたらぜひ遠慮なく言ってください (2018年4月30日 10時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 子月さん» ここまで言われたのは初めてです。ありがとうございます!文章上手に書けるよう頑張りますね (2018年4月24日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
子月(プロフ) - 甘さもあるけど少し暗い面もあって……私好みの物語です。占ツクのオリジナルだと中々見つからなかったので、この作品を見つけた時、嬉しかったです。続きを楽しみにしていますね! (2018年4月24日 19時) (レス) id: be8a18df5d (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 和花さん» ありがとうございます! (2018年4月5日 13時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京ちゃん。 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年3月28日 17時

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