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私の表情を見てか、彼の表情は一瞬固まり顔を紅くする。
「ごめん、宮田さんのなのに」
口元を覆い隠し恥ずかしそうにする彼。
普通なら二人とも赤面して視線を合わせられず、微妙な空気が流れるところ。
けどそうならなかったのは彼の鼻にアイスクリームがついていたから。
「ふふっ岩舘くん鼻についてるよ」
ポケットからハンカチを取り出し拭いてあげる。
さっきの雰囲気とは一転して和やかな雰囲気が漂う。
「ありがと。あ、それ口つけちゃったし俺食べるよ」
そう言って手からカップを取られる。
再び作ると、感覚を掴んだのか今度は上手くいった。
それを喜んで褒められて、そんな他愛もないことをして席に戻ろうとすると袖を掴まれる。
「二人で撮らない?」
二人で。
その言葉だけがやけに耳に残り、意識してしまう。
「いいよ」
けど、きっと二人なんて言葉は何気なく発したに過ぎないんだろう。
彼にとっては何気ない言葉、そんなのに私は意識してるなんてバレたらきっと引かれる。
「私スマホ席にあるや」
「じゃあ俺ので撮ろう」
ポケットからスマホを取り出し目の前に画面を出す。
映るのはやはり私と好きな人。
「せっかくだからアイスも入れよ」
彼が顔の近くにアイスを持ってきて、つられて私もそうする。
画面にアイスが入るように自然と私たちの距離も縮まる。
好きな人とのツーショットでさえ心臓に悪いのに、さらに距離が縮まるなるてもうそれは心臓に悪すぎる。
平然を装うのが一生懸命。
これ以上近づいたら胸の音が聞こえるんじゃないか。
これ以上近づいたら平然を装うなんて絶対にできない。
恥ずかしさと嬉しさと怖さがこみ上げてくる。
「ありがと、帰ったら送る」
「うん、よろしく」
写真を撮るのに使った時間はたった数秒。
けど、私には何分も経ったように感じた。
たった数秒がとても長く感じた。
やっと解放された。
そんな安堵も束の間で、早く席に戻って気持ちを落ち着かせようとする私を彼は呼ぶ。
「宮田さんさ、今日の服」
今日の服がどうしたのだろうか。
優大くんに選んでもらった服、やっぱり私が着られてるように見えるだろうか?
どうせだったら褒めて欲しい。
そんな期待を寄せて彼を見ると、彼は少し頬を赤らめる。
「可愛いよ」
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2人がお気に入り
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袋(プロフ) - 今日読み始めた者です。 本音を言うとですね、最高。すこ。めちゃくちゃドキドキする。ウッヒョーォオオォオオォオオォオオォオオ!って感じです。語彙力なくてすみません!!!! (2020年1月27日 22時) (レス) id: b33350b182 (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 岩舘くんの下の名前は吏音です。李音とよく間違えます。間違ってたらぜひ遠慮なく言ってください (2018年4月30日 10時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 子月さん» ここまで言われたのは初めてです。ありがとうございます!文章上手に書けるよう頑張りますね (2018年4月24日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
子月(プロフ) - 甘さもあるけど少し暗い面もあって……私好みの物語です。占ツクのオリジナルだと中々見つからなかったので、この作品を見つけた時、嬉しかったです。続きを楽しみにしていますね! (2018年4月24日 19時) (レス) id: be8a18df5d (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 和花さん» ありがとうございます! (2018年4月5日 13時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
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