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「春休みも来るんだね」
およそ10日ほどしかない春休み期間もマシロちゃんはカフェに訪れている。
「そういうAもアルバイト入れるんだね。宿題は終わった感じ?」
「いいえ、全く。宿題見せてくれない?」
「持ってきてないよ」
「じゃあLINEで写真送って」
「分かったー」
マシロちゃんが優大くんだと知ってから、私たちはだいぶ仲良くなっと思う。
もちろん優大くんだと知る前の親しさとは別のもの。
「吏音からLINE来た?」
「うん、すぐに会話終わったけどね」
「話し続けなかったの?」
「好きってバレても嫌だし社交辞令だけ送った」
ダメだな、とモカを口に運び言う。
「そういう君はどうなのよ。振り向かせられそう?」
「うーん、まだ友人Aだと思うけど今度遊びに行く」
「えっ二人で?」
「いや、吏音も呼ぶ予定なんだよね」
二人がよかったけどさ、と少し残念そうに言ったあと、ぱっと顔を上げこちらを見る。
「Aも来ない?」
「私はちょっと遠慮しようかな」
そんな人気者グループに入れるようなノリの良さは持ち合わせてないし、私はみっちゃんみたいにオシャレじゃない。
岩舘くんに残念だと思われたら最悪だ。
「ほんと奥手、それじゃあ振り向くものも振り向かないよ」
「でも私、みっちゃんみたいにオシャレじゃない」
「じゃあ俺が選んであげよっか?」
自然とえ、と声を洩れる。それもちょっと低い声。
今まで男子に服を選んでもらったことなんかないし、そもそも女子にも選んでもらったことがない。
三寒四温のこの春、もし選んでもらった服がその日の気温に合ってなかったらどうしようとか考えちゃう。
ましては優大くんが女物の洋服店に入って変な目で見られないだろうか。
もしカップルだと思われたら最悪だ。
「遠慮しようかな……」
彼から目を逸らしカウンターの奥へと行こうとすると低い声で名前を呼ばれる。
振り返るとキッとこちらを睨む彼女の姿があった。
「来週の日曜李音たちと遊ぶから、それまでに買いに行くよ」
整っている分怖さも増している。
「わかりました……」
そんなこんなで、日曜までに私は優大くんと服を買いに行くことになってしまった。
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袋(プロフ) - 今日読み始めた者です。 本音を言うとですね、最高。すこ。めちゃくちゃドキドキする。ウッヒョーォオオォオオォオオォオオォオオ!って感じです。語彙力なくてすみません!!!! (2020年1月27日 22時) (レス) id: b33350b182 (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 岩舘くんの下の名前は吏音です。李音とよく間違えます。間違ってたらぜひ遠慮なく言ってください (2018年4月30日 10時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 子月さん» ここまで言われたのは初めてです。ありがとうございます!文章上手に書けるよう頑張りますね (2018年4月24日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
子月(プロフ) - 甘さもあるけど少し暗い面もあって……私好みの物語です。占ツクのオリジナルだと中々見つからなかったので、この作品を見つけた時、嬉しかったです。続きを楽しみにしていますね! (2018年4月24日 19時) (レス) id: be8a18df5d (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 和花さん» ありがとうございます! (2018年4月5日 13時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
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