12 ページ12
.
「吏音のことも?」
「うん、私結構知らないからさ」
わかったと彼は素直に返事をする。
「山本は運動神経が良い。あいつのパワーはすごいよ、バスケとか野球とかほんとに上手い。ちょっと単純だけど周りのことよく気にかけてるし、結構繊細」
「岩舘くんは?」
「吏音は良いやつだよ。さり気ない優しさがあるし大抵いつも笑顔だよ。そこそこ頭いいしやることやるから俺もたまに助けてもらう。あと、長距離が得意で足も速くて多分学年でトップの方だよあれは」
「優大くんって岩舘くんのことになると饒舌になるんだね」
そう?と少し照れられる。
そんなふうに照れるのを私は初めて見た。
恋愛的な意味では好きじゃないけど、この表情は可愛くて好きだ。
「私、やっぱり岩舘くんのほうが良いな」
「うん、Aは見る目あるよ」
「やった。優大くんもみっちゃんに振り向いてもらえるように頑張ってね」
「え?なんでみっちゃんってわかった……」
そう言いかけて彼は口を手で隠す。
「意外とわかりやすいことするんだね」
「なんで?」
「仲いい人なんだろうなって思ったの。その中で好きな人がいるって身近な人に言いそうなのは、みっちゃんだけだと思って」
はあ〜と大きな溜息を吐かれる。
あとはみっちゃんは可愛いし運動神経が良いだけじゃなく、とてもフレンドリーでノリがいい。
ハナがよく優大くんのほうを見るからつられて見ることが増えたけど、彼はみっちゃんと話してるときが一番楽しそうにしてる。
「みっちゃん好きな人いるんだね」
「うん、元彼だってさ」
最近みっちゃんのカップルが別れたのはみんなが知っている。
だけど、どうして別れたのかは全く知らない。
みっちゃんはまだ元彼のことが好きってことは、きっと元彼のほうから振ったのかもしれない。
好きな人はまだ元恋人のことを忘れられない、なんて知ったらどれだけ哀しい気持ちになるんだろうか。
「ちなみに吏音はそういうのないから安心して」
いつも通りの爽やかな笑顔を浮かべる彼。
その笑顔の下に哀しみが隠れていると思うと、私は素直に喜べなかった。
.
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
袋(プロフ) - 今日読み始めた者です。 本音を言うとですね、最高。すこ。めちゃくちゃドキドキする。ウッヒョーォオオォオオォオオォオオォオオ!って感じです。語彙力なくてすみません!!!! (2020年1月27日 22時) (レス) id: b33350b182 (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 岩舘くんの下の名前は吏音です。李音とよく間違えます。間違ってたらぜひ遠慮なく言ってください (2018年4月30日 10時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 子月さん» ここまで言われたのは初めてです。ありがとうございます!文章上手に書けるよう頑張りますね (2018年4月24日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
子月(プロフ) - 甘さもあるけど少し暗い面もあって……私好みの物語です。占ツクのオリジナルだと中々見つからなかったので、この作品を見つけた時、嬉しかったです。続きを楽しみにしていますね! (2018年4月24日 19時) (レス) id: be8a18df5d (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 和花さん» ありがとうございます! (2018年4月5日 13時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ