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何かが違う。



そう思ってもそれが何なのかは分からない。




不定期に絵を見に来る彼。


だから、知りたいときに知ることが出来ない。




同じ学年でも、廊下ですれ違うことがあっても話したことは無い。


お互い友だちと話してるからというのもあるかもしれない。




由利と話すときは真顔だけど、私と話してるときはどんな顔だっけ?


それを思い出したいのに出てこない……。




「同学年かな、すごく綺麗」



たまに、由利は恋する乙女のような目で女子を見る時がある。

レズビアンなんじゃないかって思う時があるけど、ただ単に見惚れてしまうだけらしい。

誤解を招くかもしれないけど、男子にしか興味が無い私には全くわからない。

分からなすぎて少し呆れてて、またかって彼女の視線の先を見ると、私の視界に映ったのは例の彼だった。


「あ、隣にいるのってもしかして牛島?」


「うん」


相変わらずの無表情。

由利が綺麗と見惚れた女子は私から見てもやや美人で、でもやはり由利ほどでは無い。

二人で何を話しているのだろうか?

女子の方は彼に好意を持っているように見える。


「いいなあ、牛島くんはあんな綺麗な人に好意を寄せられてて」


ああ、由利から見てもそう見えるのか。

それほどに、あの女子は彼のことが好きなんだ。


ああ、なんか嫌だ。


別に彼が誰と話しててもいい。

けど、あの女子は嫌だ。

どうしてそこまで好意駄々漏れで話すんだ。

気に食わない。

もう見たくない。


二人が視界に入らぬよう横を通ろうとした瞬間。


「A!」


「今泉さん!」


後ろから由利と誰かが私を呼ぶ声がした。


それは反射的なもので、すぐにしまったと思った。


苗字と下の名前を呼ばれた。

それになんの躊躇もなく振り向いてしまった。



すぐ側に彼がいるのにも関わらず。



気づけば私を呼んだ二人はもう私の目の前にいた。


「あのさ、美術部の副部長って誰だか教えてちょうだい。部長の方は知ってるんだけど……」


「三組の成田って人だよ。茶髪で若干猫背の子」


「ありがとう今泉さん!」


ああ、すぐ側にいる彼は私のことをどう思ってるんだろう。

探してる相手が、私だと知って。



彼の方を一切見ず、私は逃げるようにその場から離れた。




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京ちゃん。(プロフ) - 無理やり完結した感じになってしまい申し訳ありません (2020年2月22日 21時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 更新遅くなりすみませんでした (2019年8月20日 21時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます!訂正しました (2018年12月5日 12時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 天童さんの一人称は確か僕じゃなくて俺ですよー (2018年12月4日 22時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ふじもん(プロフ) - 京ちゃん。さん» いえいえ!むしろ上から目線申し訳ないです(-_-;) (2018年9月29日 23時) (レス) id: 9aa2f2467a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京ちゃん。 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年5月29日 20時

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