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「由利、聞いて」
昼休みになると、すぐさまAがやってきた。
「なに?」
「朝から言うか迷ったんだけど、昨日、彼に家まで送ってもらったの」
手で口元を抑えているが、口角が上がりまくり頬が緩み切ってるのが全く隠せてない。
嬉しかったとはいえ、なんとも情けない顔だ。
「珍しく進展あったんだね。おめでとう」
「ありがとう」
Aの恋沙汰なんて今回が初めてで、Aがこんな顔をするなんて知らなかった。
友人の恋の進展は、私にとっても喜ばしいことだ。
なのに、恋は面倒で、ときにライバルというものが現れる。
「由利ちゃん。あの子が呼んでる」
クラスメイトに言われ、扉を方を見ると、そこには前に牛島と話していた可愛い子が立っていた。
私と彼女は全く接点がない。
だから、呼び出される理由なんてないはず。
私にはオーラが見えるなんて超能力は持ってないけど、彼女が自然と醸し出すオーラから、面倒な事だろうと思った。
案の定、面倒なことだった。
彼女は私を人気の少ない特別教室棟まで連れて行った。
「ごめんね、急に呼び出しちゃって」
「ううん。すぐに戻れればいいよ。で、話って何?」
すぐに戻れれば良いなんて、普通言わないんだろうけど、面倒そうだから言ってみた。
言ってみたけど、こんな可愛い子に言うのは少し胸が痛い。
「実はね、昨日あなたが男子バレー部が活動していくのを見たの」
そのまま彼女は言葉を続ける。
「どうして行ったの?何の用があったの?」
なぜ、それをは私に聞くのか私が聞きたい。
普通こういうのってライバルであるAに聞くのでは?
「友だちが美術部でポスターを頼まれたの。それで、スケッチが必要だから、その付き添い」
軽く説明すると彼女は「そう」と言って少し俯く。
「でも、頼まれた子が一人で行けば良かったんじゃない?」
これはなんとも面倒な質問。
もしかして、この人は私が牛島のことが好きで、友だちという位置を使ってわざわざ付き添いに行ったと思ってる?
「友だちに頼まれからだよ。一応言っておくけど、私は別に男子バレー部に好きな人いないから」
男子バレー部に好きな人がいない。
そう言った瞬間、彼女は胸をなでおろした。
「もういいかな?友だち待たせてるんだよね」
そう言って足早に逃げようとすると、彼女は私の手首を掴み、引き止めた。
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京ちゃん。(プロフ) - 無理やり完結した感じになってしまい申し訳ありません (2020年2月22日 21時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - 更新遅くなりすみませんでした (2019年8月20日 21時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます!訂正しました (2018年12月5日 12時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 天童さんの一人称は確か僕じゃなくて俺ですよー (2018年12月4日 22時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ふじもん(プロフ) - 京ちゃん。さん» いえいえ!むしろ上から目線申し訳ないです(-_-;) (2018年9月29日 23時) (レス) id: 9aa2f2467a (このIDを非表示/違反報告)
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