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「幽霊って、未練があるから成仏出来ないらしいよ。幽は何か未練があるの?」




『私に早く成仏して欲しいの?幸村くんは酷いなー』





違うよ、と慌てて否定するといたずらっぽく笑った幽。最初の頃と比べると茶目っ気があるし、よく笑うようになった。





『私、幸村くんに会いたいな』




「……今、目の前にいるけど」




『うーん……なんていうのかなぁ。変なこと言っちゃたね、ごめんね。』





幽は不思議で謎が多い。それは今でも変わらない。





『じゃあさ、全国大会で優勝してよ。幸村くん』





フワッと風が吹いて俺の肩にかかったジャージを揺らす。





「……うん、分かった。幽も見に来てよ。」





うん、とその返事がかえってくることはなかった。


彼女はいなくなっていた






***






「胡蝶の夢とは思想家の荘子が……」




『古典ってつまらないよねー。』





俺は先生の上をふよふよと浮く幽を見てため息をはきそうになる。

ついに幽は朝の授業にも参加してきた。





『ねぇ、幸村くんもそう思わない?』





……幽霊である彼女に俺が返事をしたら、周りの目が気になる。今は俺に話しかけないで欲しい。

俺に無視されると分かった幽は、俺の隣りで授業を聞いていた。





「夢の中の自分が現実か、現実の方が夢なのかといった説話で……」





ふと隣をみると幽は考え事をしているのか、無表情だった。





「……幸村くん?授業に集中して下さいねー」





「えっ…あっ、すみません。」





幽に顔を向けていた俺は先生に注意されてしまった。これは恥ずかしい。

幽はチラリとこちらを見て、ニンマリと笑った。





『集中だよ、幸村くん』





あぁ、分かってるよ、うるさいなぁ…誰のせいだと思って……そんな文句を言いたい気持ちに駆られるが、不思議と嫌な気分ではなかった。






夢→←狭間



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設定タグ:テニスの王子様 , テニプリ , 幸村精市   
作品ジャンル:恋愛
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アマリス(プロフ) - はあー・・・。良かった!プロポーズか・・・。別れなくて良かった。疑ってごめんなさい、幸村君!夢主とお幸せに! (2019年10月31日 15時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - シリアス過ぎる・・・。幸村と夢主が別れるなんて嫌!!ダメ、別れないで!! (2019年10月30日 9時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
Le-ca(プロフ) - スッゴく面白いです!ゆっきーと立海推しだから楽しい!それに、文章力とタイトル、語彙力に話の進め方が最高。シリアスありつつ、硬くなったり飽きないから大好きです!これからも頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 0ae78945e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そらの | 作成日時:2019年9月23日 16時

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