現実*side you ページ33
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閉会式では真田くんが準優勝の表彰楯を受け取っていた。
心中はやりきれない気持ちで溢れているのだろうけど、真田くんの横顔はどこか晴れ晴れとしていたような気もする。
肝心の精市の姿は見当たらない。
もしかして、一人で泣いているのだろうか。
閉会式が終わったあとも精市は現れず、立海の皆は会場を出て行く。
私は慌ててその後ろを追いかけた。
『みんなっ!お疲れ様!!』
弾かれたように皆が振り向く。
しばらくは呆然としていたようだけど、切原くんが騒いだのを合図にさらに騒がしくなった。
皆に囲まれながら再会を喜ぶ。
その中に精市がいないのが残念に思えた。
『閉会式から精市がいなかったけど、どこに行ったの?』
「どうしても用事があるとかで学校に戻ったらしい。俺がAのことを伝える前にな。」
止める暇もなかったらしい。
学校に用事、か。
駐車場に向かう男の人のポケットから、鍵が地面に落ちる。
あっ、と少し前の記憶を思い出した。
『まだ開けちゃダメだよ。全国大会で優勝したら、開けてみて。……いや、別に開けなくていいや。開ける時は覚悟をしておいてね』
『精市は多分、学校の部室に向かった……と思う』
「……部室?なぜだ?」
『柳くんが返してくれた鍵、精市に渡したの』
「……待て、辻褄が合わない。精市は一度もAのお見舞いに行っていない。渡す機会はなかったはずだが。」
そっか。
皆は私の"夢"の話、知らないもんね。
『よし、じゃあ皆が学校に戻る間に本当にあった怖い話をしまーす!』
「出た!A先輩の変なノリ!どうせ怖くないっスよね。」
『うるさいよ切原くん!
……えっーと、それではお聞き下さい。
____"胡蝶の夢"』
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アマリス(プロフ) - はあー・・・。良かった!プロポーズか・・・。別れなくて良かった。疑ってごめんなさい、幸村君!夢主とお幸せに! (2019年10月31日 15時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - シリアス過ぎる・・・。幸村と夢主が別れるなんて嫌!!ダメ、別れないで!! (2019年10月30日 9時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
Le-ca(プロフ) - スッゴく面白いです!ゆっきーと立海推しだから楽しい!それに、文章力とタイトル、語彙力に話の進め方が最高。シリアスありつつ、硬くなったり飽きないから大好きです!これからも頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 0ae78945e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そらの | 作成日時:2019年9月23日 16時