現実*side you ページ23
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私に意識が戻ったのはいつのことだっただろう。
でも真っ暗で何もみえない
体も動かせない
声を出せない
唯一、聞こえる耳だけで周りの状況を探る
私は今、東京の大学病院にいるらしい。
口元にあるであろう人工呼吸器のおかげで、一応呼吸は出来ている。
あの事故で私は植物人間になった。
今のところは安定。でもいつ目を覚ますかは不明。
意識はあるのに、どうすればいいんだろう。
これって、生きてるのに死んでる状態なんじゃないかな。
私の元にお見舞いにきてくれるのは、ここの大学病院に勤めている両親とテニス部員だった。
部活が忙しくて来れる頻度が減ったって言ってたけど、来てくれるだけで嬉しい。
でも、
……もう私のことなんかどうでもいいんだよね。
嫌われちゃった。
「精市が記憶喪失になった」
柳くんと真田くんがお見舞いに来てくれた時、そんな衝撃的なことを聞いた。
あの事故で精市が苦しんで
駅で倒れて私のことを忘れてしまったって
精市には全国大会三連覇がかかってるから
今はまだ私のことを伝えてないってことも
柳くんがお見舞いに来る度にその事を聞いた。
私がいつ目覚めてもいいように、教えてくれているんだ。
精市に会いたい
会って話がしたい
でもそれって、精市にとって迷惑かな
精市があの記憶を取り戻したら
また精市が苦しむことになる
このまま忘れてしまえば、全て丸く収まるんじゃないか
_____あの事故も、私との出逢いも
『全部、夢でした』ってね。
***
寝て起きてを繰り返す日々。
でも起きても目を開けられないから、いつも私の世界は真っ暗なんだ。
「これを返し忘れていた。」
今日のお見舞いは柳くんとジャッカルくんだった。
「ん?それはなんの鍵なんだ、柳」
「……託されたんだ、Aに。」
そう言って柳くんと思われる手が私の手に触れ、私の手の中に鍵を握らせた。
「……そういえば、明日が精市とAが出逢った日だと、前に精市が自慢していたな」
私は鍵に触れた瞬間、意識が遠ざかっていくのを感じた。
焦る二人の気配と押されたナースコール。
プツンと私の意識が途切れた。
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アマリス(プロフ) - はあー・・・。良かった!プロポーズか・・・。別れなくて良かった。疑ってごめんなさい、幸村君!夢主とお幸せに! (2019年10月31日 15時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - シリアス過ぎる・・・。幸村と夢主が別れるなんて嫌!!ダメ、別れないで!! (2019年10月30日 9時) (レス) id: 9443474794 (このIDを非表示/違反報告)
Le-ca(プロフ) - スッゴく面白いです!ゆっきーと立海推しだから楽しい!それに、文章力とタイトル、語彙力に話の進め方が最高。シリアスありつつ、硬くなったり飽きないから大好きです!これからも頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 0ae78945e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そらの | 作成日時:2019年9月23日 16時