▼2/18誕生日《不二裕太》 ページ21
目線の先で不二と観月が仲良く？話している。裕太はその二人を宥めようとおろおろしているが、若干諦めの境地だった。三つ巴状態に巻き込まれないようにその脇を歩いて行くと、裕太がこっそりとこちらに来た。
裕太「無視しないで助けて下さいよ！」
貴「悪い悪い。」
裕太「全然悪いと思ってませんよね…」
あの二人はまだ話しており、こちらに裕太が来たことに気付いていないようだ。
貴「……裕太、ちょっと出かけようぜ」
裕太「え？あっ、はい……」
二人にバレたら大変だな、と思いつつ俺達は合宿所から出て行った。
＊＊＊
裕太「スイーツバイキングですか！？」
貴「千石にペアチケットもらったんだ」
裕太「……それ、Aさんを誘ったんじゃ…」
……マジで？まぁ、後で借りを返せばいっか。
こういう所ってなかなか一人で入りづらいよな。特に男だと。
「いらっしゃいませ〜！あ、ペアチケットですね！それにカップル料金でお安く＿＿」
貴「カップルじゃないんですけど？」
「ひぇっ……し、失礼しました」
危ない危ない。女性を殴るわけにはいかないからな。カップルだとさらに安くなるようだったが、さすがに男としてのプライドは捨てない。
裕太「……ああいうのって、よくあるんですか？」
貴「……まぁな」
裕太「髪は切らないんですか？」
貴「妹にお揃いがいいって言われるから切りづらいんだ」
なるほど……と裕太が納得した。漠然と切るタイミングは決めているが、それがいつになるかは分からないし、もしかしたら切らないかも知れない。
貴「今日はなんで裕太を誘ったと思う？」
裕太「……たまたまそこにいたから？」
貴「バカ、違うって」
俺は先程持ってきたケーキを裕太に差し出す。
貴「誕生日おめでとう、裕太」
裕太「！」
驚いた表情をしていた。ケーキと俺を交互に見ているのが面白かった。
裕太「……嬉しいです、Aさん。本当にありがとうございます」
貴「おう！よし、めちゃくちゃ食べようぜ」
今度はスイーツ同盟の皆と来るのもいいかな、と考えながら俺はプリンに舌鼓を打った。
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作者名：そらの | 作成日時：2020年1月3日 23時
