それは舞い散る桜のように＊4 (ページ30)

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櫻井の部屋でひとり、松本はソファに正座して座っていた。

早まる鼓動をおさめるため、松本は深呼吸をする。

そして改めて部屋を見渡してみれば、全く色気のない部屋。

櫻井の部屋は相変わらずごちゃごちゃしていて汚い。

(どうやったらこんなに汚くできるんだ…)

床にはプリントが散らばり、あちこちに服が脱ぎ散らかっている。

軽くプリントをまとめて服を畳んで。

松本は夜ご飯を作ろうかと、スーパーで買ってきた食材冷蔵庫に入れ、再びソファにちょこんと座った。

好きな人の家にいるというだけで緊張している。

前に来たときは、櫻井の看病でいっぱいいっぱいだったから。

緊張する暇もなかった。

今まで恋人の家に行くことはあったけど、こんなに緊張したことはない。

(泊まるってことは、そーゆーことも…)

あの日以来、体を重ねていない。

図書室で初めて繋がったとき、櫻井は泣きながら松本を受け入れてくれた。

そのときの櫻井は可愛くて、綺麗で、淫らで……。

(何考えてんだ！)

よからぬ方へ向かう考えを打ち消すけれど、どうしても考えてしまう。

開いているドアの向こうにある寝室が見えて、ドキッとした。

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