それは舞い散る桜のように[M×S] (ページ10)

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episode10 ページ10

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(桜........)

桜を見ると、松本は櫻井のことを思い出す。

教室にいる櫻井はただカッコいい教師だったけれど。

松本が初めに見た櫻井は、とても美しい、"美人"という言葉がピッタリの人物だった。

.......そういえば、次の授業は櫻井の数学の授業ではなかっただろうか。

「松潤？」

「.............俺、次の授業出ようかな」

「えっ」

松本の発言に、思わず大野が驚きの声を上げた。

今まで松本も割と授業には出席していたが、それは全て渋々で。

自ら授業に出るなんて言っていることを大野は初めて聞いた。

「..........熱でもあんのかよ」

大野のつぶやきは松本には聞こえていないよう。

大野がコーヒーを飲み終えたところで、ちょうど1時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

「俺、授業出るから戻るわ」

数学は嫌いだし、櫻井のことは不審に思っているけれど。

それでも、櫻井のことを知りたいと、松本は思っていた。

「おう」

なぜか生き生きとしている松本を見送って、大野は松本のカップを片付ける。

どういった風の吹き回しかは分からないが、授業に出ることはいいことだ、うん。

大野は松本に違和感を感じながら、自分の仕事へと戻った。