それは舞い散る桜のように[M×S] (ページ9)

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「もー、印象最悪だろうなー」

「別にいいじゃねえか。印象なんてどんどん変わっていくんだから」

大野の言っていることは、確かに正しい。

松本の櫻井の印象も、初めは桜の似合う綺麗な人、という印象だった。

今でもそう思うが、松本の思っていたような麗しい感じではない。

美しい仮面の下に何を潜めているのか分からない、少し不審な人物だ。

松本の中で櫻井の印象が変わったように、櫻井の中でも松本の印象は変わるかもしれない。

それがいい方向に向かうかは別だが。

「翔くんに、よく思われたいのか？」

「そりゃねー。俺、受験生なんだよ？内申点とかあるじゃん」

そう言いながらも、松本は大学を受験する気などなかった。

勉強は小学校であきらめた松本は、嫌いなことを今から頑張る気もなかった。

「受験しねーだろ、どうせ」

「さあねー」

(受験なんかしたって落ちるし)

お金の無駄だとしか松本は思えない。

「ま、内申点ほしいなら真面目に授業に出ることだな」

「うわ、大野先生まで教師っぽいことを......」

「教師だからなー」

普段はこんな1時間目からサボることなんてないのだけれど。

まだ春休みの感覚が抜けていないのか、この時間帯はだるくて仕方ない。

(春だからかな........)

今も散り続けている桜を見て、松本はそう思った。