それは舞い散る桜のように[M×S] (ページ6)

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「起立、礼」

HRが終わった後の教室はざわざわとしていた。

担任が新しく赴任してきた先生ということはたいしてめずらしいことではないが、櫻井の容姿に女子生徒はメロメロになっている様子。

櫻井に声をかけたい生徒もいることだろうが、櫻井は生徒と話すこともなくすぐに教室を出た。

しばらくは呆気にとられていた松本も、すぐに櫻井の後を追う。

「松潤が美人とか言うから騙されたー！そもそも男じゃん！」

後ろから相葉の声が聞こえてくるが、そんなことは気にしていられない。

松本は、櫻井のことが気になって仕方ないのだ。

「……、先生！」

足を止めて振り返った櫻井。

はやり綺麗な人だと松本は思った。

「よー、問題児」

松本を見て口角を上げた櫻井。

美しさとはちがう男っぽさも松本を魅了させる。

「....問題児じゃないんですけど」

「入学式サボるのは問題児っていうの」

櫻井はクスッと笑って、松本に歩み寄る。

身長は低くないけれど、松本と並ぶと櫻井の方が小さい。

自然と、櫻井は松本を見上げる。

「…先生もサボってたじゃないですか」

「俺はサボりじゃない、迷子。体育館の場所分かんなかったの」

なんとも白々しい嘘を吐きながら、櫻井は笑みを絶やさない。

(なんか、笑顔も嘘くせえ...)

ずっと笑っている櫻井は何を考えているのか分からない。