episode24 ページ24
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「おー、来たな松本潤」
放課後、櫻井に言われたとおりにの図書室に来ていた松本。
松本より先に来ていた櫻井は、一番端っこの窓側の席に座って。
ペンをくるくる回しながら松本を出迎えた。
(ちゃんと来るは来るんだな‥‥)
問題児と思われがちな松本だが、教師の言うことに反抗したりすることはない。
そのことにひとまず、櫻井は安堵していた。
「先生、早くやりましょ」
向かいの席に着くなり松本は言う。
さっさと終わらせようとしているのだろう。
松本の学力であの課題をすぐに終わらせられるとは思えないけど。
松本は鞄を膝の上において、ひと息ついた。
「先生、俺さー本当に何ひとつ分かんないよ」
「だよなー」
ノートと筆箱だけを取り出した松本の前に、櫻井はあらかじめ用意していた中学生用の問題集を置いた。
「ここからやるぞ」
「えー‥‥。出来ねえって‥‥」
「最初からあきらめんな」
弱音を吐く松本に、櫻井は強く言葉を放った。
またあのときと同じ、真っ直ぐな櫻井の瞳。
松本はその瞳に吸い込まれる。
櫻井に見つめられるとどうしてこうも、雁字搦めになってしまうのか。
松本には分からなかった。
｢本当に出来ないんなら考えるよ。けど、最初から逃げるのは許さねえ｣
いつもは使わない少し乱暴な言葉使い。
生徒には丁寧な言葉使いを心がけているが、ついポロッと出てしまったのだ。
こんな教師じみた言葉は、松本なんかは嫌うだろうと櫻井は思っていた。
この言葉で松本が心動かされたことも知らずに。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2015年3月30日 18時
