それは舞い散る桜のように[M×S] (ページ3)

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episode03 ページ3

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「おー、入学早々サボりかよ」

「いいじゃん、俺は入学生じゃないんだし」

図書室から出た松本は、中庭に行くことなく保健室に向かった。

松本はよく保健室に来る。

保健室には保険医の大野がいて。

授業をサボりに来た松本に何も言わずにサボらせてくれる。

先生としてはどうかと思うが、松本は大野がいる保健室が好きだった。

既に松本専用となっているコップを取り出して、そこにあるコーヒーメーカーからコーヒーを淹れる。

その光景もすっかり普通になってしまった。

「まだ入学式終わってないの？」

「多分なぁ.....」

「先生、出なくていいのかよ」

「最初の方は出てたけどさ、眠くなっちゃうんだよな」

のんびりとした口調で言う大野は、今でも眠そうだ。

教師が式典をサボるなんてことあるのかよ、と松本は笑ってしまう。

こういう適当なところが生徒にも好かれている。

それから大野と談笑をしているうちに、カップのコーヒーも減っていって。

「お、もう終わったんじゃね？」

窓の方に目を向ければ、体育館からぞろぞろと人が出でくるのが見えた。

「次HRだろ？それは出ろよな」

大野が、先ほど誰かから聞いたセリフと同じことを言った。

松本がサボりに来ても、大野が授業に出ろ、なんて言うことは一度もなくて。

初めて言われたことに松本は少し驚く。

「めずらしいね、先生がそんなこと言うなんて」

「だってHRだろ？松潤の担任、多分すげえ美人なひとだぞ」

「え？なんでそんなこと分かるの？」

「だってそのせんせ、俺の可愛い後輩だから」

ニコリと微笑んでカップを水ですすぐ先生。

(先生の後輩.....)

美人という言葉に若干だがテンションが上がる。

「だから、授業に出てやってな」

ふにゃふにゃの笑顔で言った大野に頷いて、松本は新しい教室へと向かった。