それは舞い散る桜のように[M×S] (ページ11)

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episode11 ページ11

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「xy平面上の曲線y＝sin xに沿ってxが増加する向きに..........」

勢いで授業に出たのはいいものの、松本は授業開始3分で眠くなっていた。

(あー....意味わかんない。数学ってなんのために習うんだろう....)

sin？ √？ π？

この意味不明な記号たちは本当に将来役に立つのか.....。

(意味がわからない.......)

それもそのはず、松本は小学校で算数を諦め、数学には手もつけてこなかった。

今さらやっても分かるはずがないのだ。

松本はほとんど眠っている頭で、授業を進める櫻井を眺める。

去年まで数学の授業なんてクラスの過半数が寝てたのに。

今ではほとんどの女子が松本と同じように櫻井をうっとりと眺めている。

先生がイケメンってだけでこんなにも態度が変わるものなのか、と松本は苦笑い。

確かに難しい数式をスラスラと黒板に書く櫻井の姿は男の松本にもカッコよく見える。

授業中にも関わらず、ひそひそと"カッコいいね"と話す女子の声が松本にも聞こえていた。

(うん.......カッコいいけど......先生は.........やっぱり綺麗なんだよ......)

そんなことを考えつつも、松本の意識はもう夢の中。

(眠い..........気持ちいい........)

授業中に眠るのは普通に寝るのとは違うと松本は思う。

(みんなが勉強している横で寝るのって、いいよな........)

うつらうつらと気持ちよさそうに眠る松本は、つかつかと近づいてくる人物に気づかなかった。

ーーーポコっ

「....った...」

気分良く眠っていた松本は、頭に鈍痛を感じて目を覚ました。

眠りを妨げられたことに多少の不満を感じながら顔を上げれば、そこには相変わらず笑顔の櫻井がいて。

何も言わずに、教科書の角で松本の頭を叩いた。

「っ～～～～！！！」

地味に声の出ない痛みは松本の眠気を一気に吹っ飛ばした。

教師にこんなことをされるのは初めてだ。

「俺の授業で寝るとは、いい度胸だ」

「はあ.........？」

「放課後、職員室な」

嘘だろ......と松本は感嘆の声を漏らした。

他の授業では注意されることはたまにあっても、呼び出されることなんてなかったのに。

放課後に呼び出しだなんて、ありえない。