はじまりの空04 ページ44
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松本は櫻井が思っている以上に甘い性格の人だった。
櫻井が美味しいと言った卵焼きを毎日分けてくれたし、2人きりになると距離感も近くなる。
なんか、言葉というよりは態度や雰囲気で本当に自分のことが好きなんだと櫻井は実感していた。
松本と付き合っているということが当たり前になってきた櫻井。
そんなある日、ひとりの女子生徒に呼び出された。
もじもじして、何かを言いたそう。
もしや告白的なあれか、とソワソワしている櫻井だが、彼女は全く櫻井期待とはちがうことを言う。
「櫻井くんさ、松本くんと仲良いよね？」
「え？ああ、まあ…」
仲良いというか、付き合ってますが。
明らかに松本のことが好きそうな彼女にそんなことは口が裂けても言えない。
「松本くんに、土曜日駅前に来てほしいって伝えてください！」
「えっ、待って、自分で….」
彼女は言うだけ言うと逃げるように走ってしまった。
え、待って、そんなの俺から伝えるなんておかしくないか、と思いつつ彼女の気持ちを無下にできない櫻井。
駅前に来てって、なんかずるい言い方だよな。
相手がずっと待ってると思ったら、行かない方が悪いような気になるもん。
そんな悶々とした気持ちを抱えながら、櫻井は松本に伝えた。
「駅前？そもそも誰、その女の人は」
「となりのクラスの上田さん…」
「ふーん…」
松本の相変わらずのポーカーフェイスから何を考えているのか分からない。
櫻井は松本が行くつもりなのか、どんな気持ちなのか知りたかった。
だからか、余計なことを言ってしまった。
「行けば…？」
「…行ってほしい？」
「いや、だって、せっかくのお誘いだし…俺だけじゃなくて…」
「他の女とも遊べって？」
いつもポーカーフェイスの松本が、少しだけ悲しそうな顔に見えた。
櫻井は言ってしまってから、罪悪感に苛まれる。
なんであんなこと言ってしまったんだ。
松本に、行ってほしくないのに。
松本はそれ以上何も言わずに教室を出て行ってしまった。
傷つけたのかもしれない。
櫻井はそう思った。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
